「100均のドライバーでタガネが作れる?」

そんな情報を耳にして、本当にできるのか、どうやって作るのか、そしてその実用性はどの程度のものなのか、気になっていませんか。

プラモデル制作における精密なスジボリ作業から、DIYでのちょっとした加工、さらには化石発掘の代用ツールとしてまで、タガネの用途は意外なほど多岐にわたります。

しかし、いざタガネを100均のセリアなどで探してみても見つからず、無駄足を踏んでしまい、失敗や後悔をした経験があるかもしれません。

実際、本格的なタガネはホームセンターのコーナンといった店舗へ行けば手に入りますが、コンクリートを砕く頑丈な平タガネから、プラモ用の非常に高価なbmcタガネまで、その種類と価格は様々です。

この記事では、多くの人が関心を寄せる100均のドライバーをタガネとして活用する方法を、具体的な作り方から応用テクニック、さらにはタガネという工具の基本的な知識、そして市販の代替品に至るまで深く掘り下げて解説していきます。

ポイント
  • 100均でのタガネの販売状況と、確実に入手できる主な購入場所
  • 100均のドライバーを安全かつ効果的にタガネへ改造する具体的な方法
  • 自作タガネや関連ツールをプラモデル制作で最大限に活用するための術
  • コンクリート用から模型用まで、用途に応じたタガネの種類と代用に関する知識

100均ドライバーでタガネを自作?

内容
  • タガネは100均セリアやダイソーで売ってる?
  • タガネはホームセンターのコーナン等で入手可能
  • 鉄板やコンクリートを削る平タガネとは
  • タガネの代用は可能?化石発掘での使用例
  • ドライバーを研いでタガネに改造する方法

タガネは100均セリアやダイソーで売ってる?

結論から言うと、2024年現在、ダイソー、セリア、キャンドゥといった主要な100円ショップの店頭で「タガネ」という名称の工具は販売されていません。

この背景にはいくつかの理由が考えられます。

第一に、タガネはハンマーで強く叩き、硬い素材を加工するという過酷な使用環境に耐える必要があります。

そのためには、ある程度の強度と耐久性を持つ鋼材と、衝撃を吸収または分散させる適切な設計が不可欠です。

これらの品質を110円という価格で実現することは、製造コストや安全基準の観点から非常に難しいと推測されます。

SNSなどで「100均タガネ」として紹介されているのを見かけることがありますが、それらはユーザーが100均のマイナスドライバーなどを自己責任で改造したものを指しているケースがほとんどです。

決してタガネとして販売されている製品ではないため、店舗で探す際にはこの点を誤解しないよう注意が必要です。

ただし、後述するダイソーの「精密ケガキ針」のように、特定の用途においてタガネと似た使い方ができる商品は存在します。

タガネはホームセンターのコーナン等で入手可能

タガネを確実に入手したいのであれば、最も適した場所はホームセンターです。

コーナン、カインズ、コメリ、DCMグループといった全国に展開する大型ホームセンターの工具売り場には、多種多様なタガネが取り揃えられています。

プロの職人が利用するような専門店にも引けを取らない品揃えの店舗も多く、用途に応じた最適な一本を見つけることが可能です。

ホームセンターで購入する最大のメリットは、商品を実際に手に取って確認できる点にあります。

重量感、グリップの握り心地、刃先の形状や仕上げなど、写真だけでは分からない要素を直接確かめられます。

どのタガネを選べば良いか迷った際には、専門知識を持つ店員に相談し、用途を伝えることで的確なアドバイスをもらえるのも心強い点です。

また、多くのホームセンターはオンラインストアも運営しています。

店舗に足を運ぶ時間がない場合や、特定のメーカーの製品を探している場合には、ネットでの購入が便利です。

ただし、現物を確認できないため、サイズや仕様をよく確認してから注文することが大切になります。

鉄板やコンクリートを削る平タガネとは

平タガネは、先端がマイナスドライバーのように平たく加工された、最もポピュラーで汎用性の高いタガネです。
その頑丈な作りから、主に金属や石材といった硬い素材の加工に用いられます。

その用途は多岐にわたりますが、代表的なものを以下に示します。

平タガネの主な用途

  • ハツリ作業:

    リフォームや解体工事などで、古くなったコンクリートの壁や床、ブロック塀などを割ったり、表面を削り取ったりする作業です。
  • 金属の切断:

    ボルトの頭を飛ばしたり、薄い鉄板を切断したりする際に使用します。
  • バリ取り:

    金属を切断・研削した際に発生する、ささくれのような不要な突起(バリ)を削り取る作業です。
  • スパッタ除去:

    溶接作業の際に、母材の周りに飛び散って付着した金属粒(スパッタ)を綺麗に剥がし取るために使われます。

形状が木工用の「ノミ」と似ていますが、両者は全く異なる工具です。

ノミは鋭い刃先で木材を「切る」ことを目的としていますが、タガネはより鈍角な刃先で、ハンマーによる強い打撃によって対象物を「割る」「砕く」「削る」ことを目的としています。

そのため、材質もより粘り強く、欠けにくい鋼材が使われています。

使用する際は、破片が目に入るのを防ぐ保護メガネと、ハンマーの衝撃から手を守る厚手の手袋の着用が安全のために不可欠です。

タガネの代用は可能?化石発掘での使用例

タガネの代用品として、最も手軽に思いつくのがマイナスドライバーかもしれません。

しかし、これは工具の誤った使い方であり、非常に危険を伴うため推奨されません。

マイナスドライバーは、ネジを回転させる「ねじり」の力には強いですが、軸に対して横方向からハンマーで叩きつけるような「衝撃」には全く設計されていません。

硬い石などを無理に叩くと、先端が簡単に欠けたり、最悪の場合は金属疲労で軸が折れて破片が高速で飛散したりする恐れがあります。

実際に、硬い溶岩石を砕こうとマイナスドライバーを使ったものの、全く歯が立たなかったという報告も散見されます。

一方で、特殊な用途である化石発掘では、様々な道具が使い分けられます。

硬い母岩を大まかに割る際には、岩石用のタガネやハンマーが活躍します。

しかし、化石本体に近づき、繊細なクリーニング作業を行う段階では、歯科用の道具や彫刻刀、そして先端を細く鋭く研いだ精密ドライバーなどが用いられることもあります。

これは、あくまで対象物の硬さや脆さを熟知した上での応用的な使い方です。

一般的なDIYや作業において、安易にドライバーをタガネの代わりに使用することは、工具の破損だけでなく、重大な怪我に繋がるリスクがあることを強く認識しておく必要があります。

ドライバーを研いでタガネに改造する方法

100円ショップで手に入るマイナスドライバーを加工し、プラモデル用のマイクロチゼル(小型のタガネ)や特殊な形状の彫刻刀を自作することは、多くのモデラーやDIY愛好家によって試みられています。

低コストで自分だけのオリジナル工具を作れる魅力がありますが、正しい手順と安全への配慮が不可欠です。

準備するもの

  • 100均のマイナスドライバー:

    軸が丸く、グリップが握りやすいものが加工に適しています。
  • 金属ヤスリ:

    粗削り用の「粗目」と、形を整える「細目」の2種類あると便利です。
  • 耐水ペーパー:

    刃先を滑らかに仕上げるために使います。400番~1000番程度を揃えると良いでしょう。
  • 万力(バイス):

    ドライバーをしっかりと固定するためにあると非常に便利です。なければペンチなどで代用しますが、安定性に欠けます。
  • 保護メガネ:

    削りカスや火花から目を守るために必ず着用します。
  • 水を入れた容器:

    摩擦熱で熱くなったドライバーを冷やすために使います。

加工手順

  1. ドライバーの固定:

    まず、万力を使ってドライバーの軸をしっかりと固定します。ぐらつかないようにすることが、安全かつ正確な作業の第一歩です。
  2. 粗削り:

    金属ヤスリの粗目を使い、ドライバーの先端を大まかに削っていきます。

    作りたいタガネの形状をイメージしながら、不要な部分を大胆に削り落とします。
  3. 形状の微調整:

    細目のヤスリに持ち替え、刃の角度や幅を慎重に整えていきます。

    左右対称になるように、様々な角度から確認しながら作業を進めるのがコツです。
  4. 刃付けと仕上げ:

    耐水ペーパーを使い、刃先を滑らかに研ぎ上げます。

    番手を徐々に上げていくことで、よりシャープな切れ味になります。
  5. 冷却:

    グラインダーなどの電動工具を使う場合、摩擦熱で金属が高温になります。

    そのまま加熱し続けると、金属の組織が変化して硬度が失われる「焼きなまし」という状態になってしまいます。

    これを防ぐため、作業中はこまめに水につけて冷却することが極めて重要です。

この方法で作った工具は、あくまでプラスチックのような柔らかい素材を削るためのものです。

本来のタガネのように、金属やコンクリートに使うことは絶対に避けてください。

100均ドライバー改造タガネの模型での活用術

内容
  • タガネはプラモのスジボリで活躍する工具
  • 精密作業に人気のbmcタガネとの違い
  • ダイソーの精密ケガキ針という選択肢
  • 自作タガネの収納に合うケースとは?
  • 100均ドライバータガネを正しく理解し活用

タガネはプラモのスジボリで活躍する工具

プラモデル制作の分野、特にガンプラなどのキャラクターモデルにおいて、タガネは「スジボリ」というディテールアップ技法に欠かせない重要な工具として広く認識されています。

スジボリとは、パーツの表面に元々刻まれている凹状のモールド(パネルラインや分割線)を、タガネを使ってさらに深く、シャープに彫り直す作業を指します。

キットのままの状態では、金型の都合でモールドが浅かったり、エッジが甘かったりすることが少なくありません。

ここに一手間加えることで、パーツの輪郭がはっきりと際立ち、全体の立体感や情報量が格段に増します。

また、スジボリを施すことで、塗装後の「スミ入れ」が非常に楽になります。

溝が深くなることで塗料がスムーズに流れ込み、はみ出しにくくなるため、仕上がりの美しさが大きく向上します。

0.1mm、0.15mm、0.2mmといった様々な刃幅のタガネを使い分けることで、線の強弱を表現することも可能です。

100均のドライバーを改造して自分だけのオリジナル幅のタガネを作り、作品に個性を加えるモデラーも多く、スジボリはモデルの完成度を左右する奥深いテクニックと言えます。

精密作業に人気のbmcタガネとの違い

プラモデル用タガネの最高峰として多くのモデラーから絶大な支持を得ているのが、スジボリ堂が販売する「BMCタガネ」です。

100均のドライバーをベースにした自作タガネとは、性能、価格、使い勝手のあらゆる面で大きな違いがあります。

最大の違いは、やはりその材質にあります。

BMCタガネは非常に硬度の高いタングステン鋼を精密に研磨して作られており、箱出しの状態で驚くほどシャープな切れ味を発揮し、その切れ味が長期間持続します。

一方、ドライバーに一般的に使われるクロムバナジウム鋼などは、タングステン鋼ほどの硬度や耐摩耗性はありません。

この材質と加工精度の差は、作業効率と仕上がりの美しさに直接影響します。

BMCタガネはプラスチックに刃を当てて軽く引くだけで、均一で綺麗な溝を削り取ることができます。

対して自作タガネは、制作者の研磨技術によって切れ味が大きく左右され、こまめなメンテナンスも必要になります。

どちらが良いというわけではなく、目的やスキルレベルに応じて使い分けるのが賢明です。

以下の比較表を参考に、自分に合った選択を検討してみてください。

項目BMCタガネ100均ドライバー自作タガネ
主な材質タングステン鋼クロムバナジウム鋼など
切れ味・精度非常に高い(均一でシャープ)加工技術と研磨スキルに大きく依存
耐久性高く、切れ味が長持ちする比較的低く、こまめな研ぎ直しが必要
価格高価(1本数千円~)非常に安価(材料費110円~)
使い心地軽い力でスムーズに彫れる力の入れ加減にコツが必要な場合がある
カスタマイズ性低い(既製品)非常に高い(刃幅や形状を自由に作れる)
適したユーザー初心者から上級者まで、
最高の品質を求める人
コストを抑えたい人、工具作りを楽しみたい人

ダイソーの精密ケガキ針という選択肢

タガネそのものではありませんが、スジボリ用のツールとしてダイソーの「精密ケガキ針」がコストパフォーマンスの高さから大きな注目を集めています。

この製品の最大の特長は、110円という驚きの低価格でありながら、刃先に高硬度なタングステン鋼が採用されている点です。

タングステン鋼は、前述の高級なBMCタガネにも使われている素材であり、優れた硬度と耐摩耗性を誇ります。

そのため、プラモデルに既にあるモールドをなぞって深くする、といった用途においては、高価な専門工具と比較しても遜色のない切れ味を発揮します。

ただし、この製品には構造上の弱点も存在します。

持ち手であるプラスチック製の軸と針を固定している部分が簡易的な作りであるため、力を加えた際に針先がわずかにぐらついてしまうのです。

このぐらつきは、新しく直線を引く際にラインがブレたり、プラスチックの表面が白く毛羽立つ「白化」現象を引き起こしたりする原因となります。

この弱点を克服するため、多くの経験豊富なモデラーは一工夫加えています。

最もポピュラーな改造法は、ケガキ針から先端の針部分だけを取り外し、より保持力の高い「ピンバイス」(小型ドリル刃などを固定するハンドル)に装着する方法です。

これにより針先が完全に固定され、安定性が飛躍的に向上し、市販の高級品にも劣らないほどの精度の高い作業が可能になります。

わずかな投資と工夫で性能を最大限に引き出せる、非常に魅力的な選択肢です。

自作タガネの収納に合うケースとは?

出典:DAISOオンライン

苦労して自作したタガネや、繊細な精密ケガキ針、あるいは高価な市販のタガネなど、先端が鋭利でデリケートな工具は、適切に保管することが極めて重要です。

刃先を保護し、思わぬ怪我を防ぎ、そして工具自体を長く使い続けるためにも、専用の収納ケースを用意することを強く推奨します。

高価な専用ツールケースを購入しなくても、100円ショップで手に入る様々な商品を流用することで、機能的かつ安価な収納環境を整えられます。

実際にモデラーの間では、セリアで販売されていた「8本組ドライバーセット」のプラスチックケースが、スジボリ堂のBMCタガネの収納に驚くほどぴったりだとSNSで話題になったことがあります。

その他にも、以下のような商品が収納ケースとして活用できます。

  • セクションケース:

    細かい仕切りが付いているため、刃幅ごとにタガネを整理できます。
  • ピルケース:

    曜日ごとに分かれたタイプなどは、小型の工具の整理に便利です。
  • ペンケース:

    細長い形状のものが多く、タガネやデザインナイフなどをまとめて収納するのに適しています。
  • メラミンスポンジ:

    ケースの中に敷き詰め、カッターで切り込みを入れることで、工具を優しく固定するクッション材になります。

自分の持っている工具の数やサイズに合わせて最適なケースを選ぶことで、作業台の上をすっきりと整理できるだけでなく、大切な工具を錆や衝撃から守り、制作へのモチベーションを高めることにも繋がります。

100均ドライバーでタガネをつくる【まとめ】

  • タガネという名称の工具は100円ショップでは直接販売されていない
  • ダイソーやセリアの店頭でタガネそのものを探すのは難しい
  • タガネの購入を検討するなら、まずはコーナンなどのホームセンターの工具売り場を確認する
  • 平タガネはコンクリートのハツリや金属加工に用いる頑丈な工具である
  • タガネはハンマーによる強い打撃に耐える設計がノミとの大きな違い
  • 100均のマイナスドライバーを研磨して簡易的なタガネの代用にすることは可能
  • ドライバーの改造は工具の本来の用途から外れるため、すべて自己責任で行う必要がある
  • 自作タガネはプラモデルのディテールアップ(スジボリ)など精密作業で特に活用される
  • 化石発掘のような特殊な用途でタガネの代用品が探されることもある
  • 最高の切れ味と耐久性を求めるなら、スジボリ堂のBMCタガネが高品質な選択肢となる
  • BMCタガネは価格が高いが、軽い力でシャープな線が彫れるメリットがある
  • コストを抑えたいスジボリ入門者には、ダイソーの精密ケガキ針がおすすめ
  • 精密ケガキ針は、ピンバイスに装着することで安定性が格段に向上する
  • 自作したり購入したりしたタガネは、刃先保護と安全のため100均のケースなどで適切に保管する
  • 自分の目的、予算、そしてスキルレベルを総合的に考え、市販品と自作品を賢く使い分けることが重要
おすすめの記事