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CX-5のタイヤ交換を自分でやろうと思った時、まず最初にぶつかる壁であり、そして最も深く悩むのが「ジャッキ選び」ではないでしょうか。

インターネットの検索窓に「cx5 ジャッキ おすすめ」と打ち込んで検索してみても、画面には星の数ほどの製品が表示され、価格も数千円のものから数万円するプロ仕様のものまでピンキリです。「結局、私のCX-5にはどれが一番合っているの?」「高いものを買わないとダメなの?」と、迷宮入りしてしまう方も少なくありません。

特にCX-5は、マツダが誇る本格的なクロスオーバーSUVであるがゆえに、一般的なセダンやコンパクトカーとは全く異なる「車高の高さ(最低地上高)」と「車両重量」を持っています。そのため、ホームセンターの特売でよく見かける安価な2tジャッキや、以前乗っていた車で使っていた古いジャッキを流用しようとして、「ジャッキを最大まで上げたのにタイヤが地面から離れない…」という、嘘のような本当の失敗談が後を絶ちません。この絶望感たるや、言葉にはできないものがありますよね。

さらに、いざジャッキを手に入れたとしても、「フロントやリアのジャッキアップポイントは具体的にどこなのか?」「私の車は2WDだけど、4WDと同じ場所に掛けてもいいのか?」といった、安全に直結する構造上の疑問も尽きないはずです。間違った場所にジャッキを掛けてしまえば、大切な愛車のボディを凹ませてしまったり、最悪の場合は作業中に車が落下するという重大な事故にも繋がりかねません。

CX-5(KF系)のメンテナンスに初めて挑戦しようとする際、膨大な情報量に直面し、まさに「情報の海」に溺れかけてしまう人は少なくありません。

どの道具を揃えれば良いのか、どの手順が正解なのかを必死に調べ、いくつもの試行錯誤を重ねながら、ようやく「これだ」という最適解にたどり着くケースは非常によく見られます。

この記事では、一人のCX-5オーナーとしての実体験と、数々の失敗から学んだ教訓、そして工学的な根拠に基づいた「失敗しないジャッキの選び方」や「安全確実な作業手順」について、どこよりも詳しく、そして分かりやすくご紹介していきたいと思います。

これから紹介する内容は、単なる商品紹介ではありません。あなたがDIYでのタイヤ交換やオイル交換を、安全かつ快適に、そして何より「楽しく」行うためのガイドブックです。ぜひ最後までお付き合いいただき、あなたのカーライフを充実させるヒントにしていただければ嬉しいです。

記事のポイント
  • CX-5の車重と高さに適した失敗しないジャッキの選び方
  • 2tと3tの違いや高さ不足を防ぐために必要なスペック
  • フロントやリアおよび2WDのジャッキアップポイント位置
  • 安全な作業に欠かせないジャッキスタンドなどの周辺機器

失敗しないCX-5のジャッキおすすめ選定と高さの壁

CX-5のメンテナンスにおいて、最も重要かつ基本となるのが「道具選び」です。ここで選択を誤ると、作業効率が悪くなるどころか、そもそも作業ができないという事態に陥ってしまいます。

なぜ多くの人がCX-5のジャッキ選びで失敗してしまうのか。その背景には、SUV特有の車両構造と、市販されているジャッキのスペック表記の罠があります。まずは、この「高さの壁」と「重さの壁」について、メカニズムの視点からしっかりと紐解いていきましょう。ここを理解すれば、もう無駄な買い物をすることはなくなりでしょう。

失敗しないCX-5のジャッキおすすめ選定と高さの壁
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2tでは高さが足りない!CX-5に必要な揚程とは

CX-5のジャッキ選びで最も多く、そして最も痛恨のミスと言えるのが「せっかく買ったジャッキなのに、高さが足りなくてタイヤが浮かない」というケースです。「ジャッキアップしているのにタイヤが浮かないなんてこと、あるの?」と思われるかもしれませんが、これはCX-5のようなSUVでは頻繁に起こる現象なのです。

以前乗っていたコンパクトカー用のローダウンジャッキ(最高位380mm程度)を、そのまま流用しようとして失敗するケースは珍しくありません。
アームが最高点に達して「これ以上上がらない」という状態になっても、サスペンションのストロークが長いCX-5では、タイヤが地面に接地したままという事態が起こり得ます。

「ジャッキは上がりきったのにタイヤが浮かない」という現実に直面し、そこで初めてスペック不足に気づくのは、SUVへの乗り換え時によくある経験です。

この現象には、明確な2つの理由があります。

1. そもそもの最低地上高が高い

まず一つ目は単純な理由で、CX-5(KF系)の最低地上高は約210mmと、一般的な乗用車(150mm前後)に比べてかなり高く設定されています。ジャッキはまず、この210mmという高さをクリアして、ようやく車体のジャッキアップポイントに接触します。つまり、上げ始めのスタートラインがすでに高い位置にあるのです。

2. サスペンションの「伸び」が長い

そして二つ目、こちらがより深刻な理由ですが、SUVは悪路走破性を高めるために、サスペンションのストローク(上下動の幅)が非常に長く設計されています。特に、車体が持ち上がった時にタイヤが下方向に伸びる「リバウンドストローク」が、セダンやミニバンとは比較にならないほど長いのです。

ジャッキで車体を持ち上げ始めると、ボディはどんどん上がっていきますが、タイヤはサスペンションのバネの力で地面に押し付けられ続け、なかなか地面から離れません。ボディが上がり、サスペンションがこれ以上伸びないという限界(フルリバウンド)まで伸び切って初めて、ようやくタイヤが地面から離れるのです。

この「サスペンションが伸び切るまでの距離」が、CX-5は非常に長い。これが「高さ不足」の正体です。

必要な高さ(揚程)のシミュレーション

論より証拠、具体的な数字で計算してみましょう。

  • ジャッキポイントまでの地上高:約210mm
  • サスペンションの伸び代(推定):約100mm〜150mm
  • タイヤを地面から浮かせるクリアランス:約50mm

これらを合計すると、210 + 150 + 50 = 410mm となります。

つまり、物理的に最低でも410mmの高さまで上がるジャッキでなければ、タイヤ交換すらできない計算になります。

2tでは高さが足りない!CX-5に必要な揚程とは
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ホームセンターなどで数千円で売られている小型の2tジャッキやパンタグラフジャッキの多くは、最高位が330mm〜380mm程度しかありません。これでは、計算上どうやっても足りないことがお分かりいただけるかと思います。

さらに重要なのが、安全のために車体を支える「リジットラック(ウマ)」を掛ける作業です。ウマを掛けるためには、ウマの高さよりもさらに数センチ高く持ち上げて、そこから降ろして固定する必要があります。

これらを考慮すると、CX-5を快適に整備するためには、最低でも最高位450mm、理想を言えば500mm以上の揚程(リフト量)を持つジャッキが必須条件となるのです。「大は小を兼ねる」と言いますが、ジャッキの高さに関しては「大でないと始まらない」のが現実ですね。

安全なタイヤ交換には3tジャッキが必須な理由

「高さが足りないなら、木材などを噛ませて嵩上げすればいいのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、それは極めて危険なので絶対にやめてください。不安定になり、作業中にジャッキが外れる原因になります。

そして、高さの問題と同じくらい重要なのが、ジャッキの「基礎体力」とも言える「耐荷重(パワー)」です。ここでも私は、声を大にして「3t(3トン)ジャッキ」の導入を強くおすすめします。「2tジャッキでも耐荷重的には足りているはず」という意見もありますが、工学的な視点と安全マージン(余裕)を考えると、2tでは心許ないのが正直なところです。

その理由を、CX-5の重量配分から見ていきましょう。

CX-5のヘビー級な車両重量

CX-5の車両重量は、グレードによって異なりますが、概ね以下のようになっています。

  • ガソリンモデル(2.0L/2.5L):約1,500kg 〜 1,600kg
  • ディーゼルモデル(XD系):約1,600kg 〜 1,700kg

ここに、満タンの軽油やガソリン、積んでいる荷物、そして作業者自身の体重などが加わると、実質的な総重量は2トンに迫る勢いです。

フロントヘビーによる過酷な負荷

特に注意が必要なのは、フロント(前輪)側のジャッキアップです。車は均等に重さが分散しているわけではありません。CX-5の場合、重たいエンジンやトランスミッションがフロントに集中している「フロントヘビー」な構造です。

フロントの2輪を同時に持ち上げる場合、車両総重量の約60%〜70%近い荷重がジャッキ一点に集中することになります。仮に総重量1.8トンとすると、その70%は約1.26トンです。

「2tジャッキなら1.26トンなんて余裕じゃないか」と思われるかもしれません。しかし、市販の安価なジャッキの「最大耐荷重2t」という数値は、あくまで「壊れる寸前の限界値」に近い性能であることが多いのです。限界ギリギリの状態で使い続けると、内部のゴムパッキン(Oリング)や油圧シリンダーに過大な負荷がかかり続け、早期のオイル漏れや、最悪の場合は持ち上げている最中に油圧が抜けて下がってくるトラブルに繋がります。

安全なタイヤ交換には3tジャッキが必須な理由
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余裕こそが安全の証

一方で、3t(3000kg)ジャッキを使用した場合、1.26トンの負荷は、その能力の約40%程度に過ぎません。
人間で例えるなら、限界まで重い荷物を持ってフラフラしている状態(2tジャッキ)と、余裕を持って荷物を抱えている状態(3tジャッキ)の違いです。

この「余裕」は、製品の寿命を延ばすだけでなく、ポンピング(ハンドル操作)の軽さや、ジャッキアップ中の車体の安定感にも直結します。グラグラと揺れる車体に怯えながら作業するよりも、どっしりと安定した状態で作業する方が、精神衛生上も圧倒的に良いですよね。

メルテックなどCX-5に最適なフロアジャッキ比較

高さと重さの重要性が分かったところで、いよいよ具体的な製品選びに入りましょう。市場には数多くのジャッキが出回っていますが、CX-5オーナーの間で長年支持され続けている「間違いない製品」があります。

私が実際に比較検討し、自信を持っておすすめできる3つのモデルをピックアップしました。それぞれのスペックと特徴を比較してみましょう。

製品名【推奨No.1】
メルテック
FA-31
【プロ仕様】
アルカン 3t
ハイブリッド
【参考】
エマーソン
EM-514
最大耐荷重3.0t (ISO VG32)2.7t (US 3.0t)3.0t
最高位530mm500mm435mm
最低位148mm101.6mm135mm
重量約18kg約26kg約14.8kg
CX-5適合度◎ (最適・最強)◯ (十分)△ (高さ注意)

【推奨モデル:メルテック FA-31】コスパと性能の最適解

CX-5オーナーに最も強くおすすめしたいのが、大自工業(Meltec)の「FA-31 3t油圧フロアジャッキ スーパーハイリフト」です。正直、迷ったらこれを買っておけば間違いありません。

最大の魅力は、何と言っても最高位530mmという圧倒的な揚程スペックです。同価格帯のライバル製品が400mm〜450mm程度であるのに対し、頭一つ抜けた高さを誇ります。これだけの高さがあれば、CX-5の長いサスペンションが伸び切っても、さらに余裕を持ってタイヤを浮かせることができますし、リジットラック(ウマ)を高い位置で掛けることも容易です。

また、本体重量が約18kgという点も見逃せません。3tジャッキといえば30kg〜40kg級の鉄の塊を想像しますが、FA-31は家庭でも取り回しがしやすい現実的な重さに収まっています。駐車場から物置までの移動も、そこまで苦になりません。

さらに、サドル(お皿)部分を嵩上げする「サイド掛け用アタッチメント」が標準で付属しているのも嬉しいポイント。これ一つ買えば、追加のオプションを買わずにすぐに作業が始められます。

【プロ仕様:アルカン 3tハイブリッド】圧倒的な剛性感

もしあなたが、ガレージハウスにお住まいで、ジャッキを持ち運ぶ必要がなく、予算にも余裕があるなら、コストコなどで有名な「アルカン(ARCAN) 3tハイブリッドジャッキ」も素晴らしい選択肢です。

このジャッキの特徴は、ボディの剛性が桁違いに高いこと。持ち上げた時の「しっかり感」や「微動だにしない安定感」は、さすがプロメカニックも愛用するレベルです。デュアルピストン仕様で、無負荷時の上昇スピードが速いのも魅力ですね。

ただし、本体重量は約26kg以上と非常に重く、サイズも巨大です。一般的なご家庭の駐車場で、毎回物置から出してくるような使い方には少々オーバースペックかもしれません。

【注意点】スペック不足の製品を選ばないために

比較表に入れたエマーソンのEM-514などは、ホームセンターでもよく見かける定番商品ですが、最高位が435mmとなっています。これでもギリギリ作業は可能かもしれませんが、ウマを掛ける際の手間や、将来のリフトアップ(カスタム)の可能性を考えると、やはり530mmまで上がるFA-31の方に軍配が上がります。

「数千円安いから」という理由でスペックの低いジャッキを選んでしまい、後で「高さが足りない!」と買い直すことになるのが一番の無駄遣いです。最初から十分なスペックを持った製品を選ぶことが、結果的に最も賢い選択になりますよ。

作業の安全を守るジャッキスタンドとアダプター

ジャッキ選びと同じくらい、いや、命を守るという意味ではそれ以上に大切なのが、持ち上げた車を支える「ジャッキスタンド(通称:ウマ・リジットラック)」の選定です。

「ジャッキで上げたまま作業しちゃダメなの?」という質問をたまに受けますが、これは絶対NGです。油圧ジャッキは、内部のパッキン一つで数トンの重さを支えているに過ぎません。もし作業中にパッキンが破損して油圧が抜けたり、地震で車が揺れたりしたら、車体は一瞬で落下します。その下に体を入れていたら…想像するだけで恐ろしいですよね。

自分の命を守るため、そして大切な家族を悲しませないためにも、必ずジャッキスタンドを使用してください。

作業の安全を守るジャッキスタンドとアダプター
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CX-5に合うスタンドも「高さ」が命

ここでもやはり「高さ」がキーワードになります。一般的な乗用車用の小型スタンド(最高位350mm前後)では、CX-5を最大までジャッキアップしても、スタンドの高さが届かず、宙に浮いてしまうという事態が発生します。

CX-5のタイヤ交換に使用するなら、最高位400mm以上まで伸びるタイプが必須です。

おすすめのスタンド:メルテック FA-82

おすすめはメルテックの「FA-82 3tジャッキスタンド ヘビー」です。
この製品は最高位が415mmまで設定可能で、CX-5の車高にも余裕で対応します。

また、高さ調整が「ラチェット式(ギザギザの爪で噛み合わせる方式)」なのも大きなメリット。ピンを差し込むタイプよりも細かく高さ調整ができるため、左右の高さを揃えやすく、作業効率が格段に上がります。

※注意:同じメーカーの「FA-81(コンパクト)」は最高位が低いため、CX-5には不向きです。型番を間違えないようにしましょう。

ジャッキアップポイントを傷つけないゴムの選び方

最後に、忘れがちですが非常に重要なアイテムが「ジャッキアダプター(ゴムパッド)」です。

マツダ車のサイドシル(ドアの下の部分)にあるジャッキアップポイントは、鉄板を2枚合わせて溶接した「耳(ピンチウェルド)」のような形状をしており、下に向かって薄い板が飛び出しています。

ここに、金属製のジャッキのお皿や、ウマの受け皿を直接当ててしまうとどうなるでしょうか?
テコの原理と一点集中荷重により、ピンチウェルドはいとも簡単にグニャリと曲がってしまいます。また、塗装が割れて剥がれ、そこから錆が発生し、ボディの腐食原因にもなります。

これを防ぐために、必ず「溝付きのゴムパッド」を使用しましょう。

ジャッキアップポイントを傷つけないゴムの選び方
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「深溝タイプ」を選ぶのが鉄則

ゴムパッドなら何でも良いわけではありません。選ぶ際の最重要ポイントは「溝の深さ」です。

Amazonなどで売られている安価な汎用パッドの中には、溝の深さが10mm程度しかないものがあります。しかし、マツダ車のピンチウェルドは比較的高さがあるため、浅い溝だと結局ピンチウェルドの先端がゴムの底に当たってしまい、荷重を支えきれずにゴムが割れたり、耳が曲がったりしてしまいます。

溝の深さが15mm〜20mm程度ある「深溝タイプ」や、「マツダ車対応」を明記しているものを選んでください。このアダプターがあるだけで、車体を「点」ではなく「面」で支えることができ、安定性が増すとともに、愛車を傷つけるリスクをほぼゼロにすることができます。

数百円〜千円程度の小さな投資ですが、その効果は絶大です。

CX-5におすすめのジャッキ手順とポイント位置図解

最適な道具が揃ったところで、いよいよ実践編です。ここでは、多くのCX-5オーナーが迷う「正しいジャッキアップポイントの位置」と「安全な作業手順」について、詳しく解説していきます。

特に2WD車と4WD車でポイントが異なる点や、マニュアルには書かれていない現場の知恵など、図解をイメージしながら読み進めてください。

CX-5におすすめのジャッキ手順とポイント位置図解
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フロントとリアのジャッキアップポイント位置図解

ガレージジャッキを使って車体の中央から一気に持ち上げる方法を「センター上げ」と呼びます。この時、ジャッキを掛ける場所は適当ではいけません。車両の骨格の中でも特に強度が確保された場所を選ばないと、フレームが歪んでしまうからです。

【フロントのジャッキポイント】全車共通

フロントのジャッキポイントは、エンジンの真下あたりにある「フロントクロスメンバー(サスペンションメンバー)」の中央です。

しかし、CX-5の下回りは空力特性を良くするために、広範囲が樹脂製のアンダーカバーで覆われています。そのため、パッと見ではメンバーがどこにあるのか分かりにくいのが難点です。

見つけ方のコツ:

フロントバンパーの下から地面に寝転がって、車体の中央ラインを奥の方まで覗き込んでみてください。アンダーカバーのさらに奥、左右の前輪の中心軸を結ぶライン付近に、黒い鉄製のメンバーの一部が露出している、あるいはアンダーカバーに丸い穴や切り欠きがあり、ボルトが見える場所があります。そこがジャッキポイントです。

場所が非常に奥まっているため、ジャッキをかなり深くまで差し込む必要があります。ハンドルを操作する際にバンパーに当たらないよう、慎重に位置決めをしましょう。

【リアのジャッキポイント】4WD/AWD車の場合

4WD車の場合は非常に分かりやすく、後輪の車軸中央にある「リアデファレンシャル(デフ)」のケース本体がジャッキポイントになります。

後ろから覗き込むと、左右のタイヤを繋ぐドライブシャフトの真ん中に、ゴツゴツとした金属の塊(デフ)が見えます。ここにジャッキを掛けます。

ただし、注意が必要です。デフの後ろ側には、銀色のアルミ製カバー(フタ)が付いていますが、ここには絶対にジャッキを掛けないでください。アルミは強度が低いため、割れてデフオイルが漏れる大惨事になります。必ず、その手前にある鉄製の黒いケース本体(ハウジング)に掛けるようにしてください。

フロントとリアのジャッキアップポイント位置図解
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フロントとリアのジャッキアップポイント位置図解
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難しい2WDのリアジャッキポイントの見極め方

さて、問題なのが2WD(FF)モデルのリア側です。
2WD車にはリアデフが存在しません。その代わりに、左右のタイヤを「トーションビーム」と呼ばれる太いパイプ状の梁で繋いでいます。

「じゃあ、このトーションビームの真ん中で上げればいいの?」と思われるかもしれませんが、実はこれはメーカーとして推奨していないケースが多いのです。トーションビームの中央一点に全荷重をかけると、ビーム自体が微妙に湾曲してしまい、リアのアライメント(タイヤの角度)が狂って走行安定性が損なわれるリスクがあるからです。

一部の車種では、トーションビームの中央に補強プレート(カップ状の突起)が付いていて、そこをジャッキポイントとして指定している場合もありますが、CX-5においては明確な指定がない場合が多いです。

2WDオーナーへの安全アドバイス

取扱説明書を確認してもフロアジャッキでのリアセンター上げについて記述がない、あるいは実車を見ても明確な補強ポイントが見当たらない場合は、無理にセンター上げをしようとしないでください。

多少手間はかかりますが、「片側ずつ、サイドシルの指定ジャッキポイントで持ち上げる」のが、車両へのダメージリスクがなく、最も安全で確実な方法です。
急がば回れ。愛車を長く大切に乗るためには、無理な作業を避ける勇気も必要ですね。

難しい2WDのリアジャッキポイントの見極め方
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フロントメンバーやデフに掛ける際の注意点

ポイントが特定できたら実際にジャッキを掛けていきますが、ここでもプロならではの細かな注意点があります。

まずフロントですが、前述の通りポイントが非常に奥まっています。短いジャッキだと、ポンピングするためのハンドルがバンパーに干渉してしまい、上下に動かせない(=ジャッキアップできない)という事態になります。
私がおすすめした「メルテック FA-31」のような、ボディ全長が長いガレージジャッキなら、奥まで差し込んでもハンドル操作のスペースを確保しやすいというメリットがあります。もし手持ちのジャッキが短い場合は、スロープなどを使って前輪を少し浮かせてからジャッキを入れるなどの工夫が必要になります。

フロントメンバーやデフに掛ける際の注意点
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また、リアデフやメンバーにジャッキを掛ける際は、金属同士が直接当たると滑りやすく危険ですし、傷もつきます。ジャッキのサドル(お皿)には、必ず厚手のゴムパッドを敷くか、硬い木材などを挟んで、滑り止めと傷防止の措置を行ってください。

そして、ジャッキアップ中は車体が斜めになるにつれて、ジャッキ本体が車体側に引き込まれていく(キャスターが転がって動く)動きをします。地面が砂利や土だとキャスターが転がらず、ジャッキが外れる原因になります。必ずコンクリートやアスファルトの平坦な場所で作業を行ってください。

締め付けトルク厳守!安全なタイヤ交換の手順

ジャッキアップが完了し、ウマを掛けてタイヤを交換したら、最後の仕上げも気を抜けません。特に重要なのが「ホイールナットの締め付け」です。

「力一杯締めればいいんでしょ?」と思って、足でレンチを踏んづけて締め付けるようなことは絶対にしないでください。ボルトが伸びたり、折れたりする原因になります。
逆に、力が弱すぎれば走行中にタイヤが脱落する大事故につながります。

車には、車種ごとに決められた「規定トルク(締め付ける力)」があります。
マツダ公式サイトのデータおよび取扱説明書によると、CX-5のホイールナット締め付け規定トルクは以下の通りです。

CX-5(KF系/KE系)ホイールナット規定トルク

108 N・m 〜 147 N・m
(約 11 kgf・m 〜 15 kgf・m)

(出典:マツダ株式会社 CX-5 電子取扱説明書『タイヤ/ホイール』

この範囲内の力で締めることが、メーカーによって計算された安全な状態です。
この管理を行うために必須なのが「トルクレンチ」です。設定したトルクに達すると「カチッ」という音と手応えで教えてくれるこの工具を使えば、誰でもプロと同じ精度で締め付けができます。

締め付けトルク厳守!安全なタイヤ交換の手順
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安全な締め付け手順:

  1. 手締め:
    まずは手でナットを奥まで回し入れます。
  2. 仮締め:
    ジャッキアップした状態で、工具を使って軽く抵抗があるところまで締めます。
  3. 本締め:
    ジャッキを降ろし、タイヤが接地した状態で、トルクレンチを使って規定トルクで締め付けます。
  4. 対角線順:
    ナットは一箇所を集中して締めるのではなく、星を描くように対角線の順番で、数回に分けて均等に締め込んでいきます。

CX-5のジャッキおすすめ製品で安全な作業まとめ

CX-5のジャッキ選定と、安全な作業のためのポイントについて、かなり詳細に解説してきました。

情報量が多くて少し頭がいっぱいになってしまったかもしれませんが、大切なポイントをもう一度シンプルにまとめておきましょう。

  • 高さが命:
    CX-5には、最高位500mmクラスまで上がる3tジャッキ(メルテック FA-31等)がベストバイ。
  • パワーも重要:
    2tジャッキは能力不足で危険。余裕のある3tを選ぶことで、安全かつ楽に作業ができる。
  • 支えを忘れずに:
    ジャッキスタンド(ウマ)も高さ400mm以上に対応したもの(FA-82等)が必須。
  • ポイントを守る:
    サイド掛けには深溝のゴムアダプターを使い、ボディの耳潰れを防ぐ。
  • 2WDのリア:
    デフがないため、無理なセンター上げはせず、サイドジャッキアップ推奨。
  • トルク管理:
    最後は必ずトルクレンチを使い、108〜147N・mの範囲で確実に締め付ける。

「たかがタイヤ交換」と思うかもしれませんが、2トン近い鉄の塊を空中に持ち上げる作業には、常にリスクが伴います。しかし、適切な道具と正しい知識さえあれば、そのリスクは限りなくゼロに近づけることができます。

最初は初期投資がかかりますが、一度しっかりとした道具(FA-31やFA-82など)を揃えてしまえば、それらは10年使える相棒になります。毎回ショップにタイヤ交換をお願いする工賃や、待ち時間を考えれば、数年で元は取れてしまいますし、何より「自分で愛車をケアする」という深い満足感は、お金には代えられない価値があります。

この記事が、あなたのCX-5ライフをより安全で、より楽しいものにするきっかけになれば、これ以上の喜びはありません。
さあ、天気の良い週末、ガレージで愛車と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか?くれぐれも安全第一で、DIYを楽しんでくださいね!

※本記事の情報は執筆時点の一般的な目安であり、著者の経験に基づくものです。
車両の年式、グレード、仕様変更により、ジャッキポイントや締め付けトルクが異なる場合があります。
作業前には必ず、ご自身の車両に付属している取扱説明書をご確認ください。
ご自身での作業に少しでも不安がある場合は、無理をせずディーラーや専門ショップへ依頼することを強くおすすめします。

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とっしー
運営者のとっしーです。DIY歴は20年超。数々の失敗から得た経験を元に、工具のレビューや初心者がつまずくポイントを丁寧に解説しています。あなたの「最高の選択」を全力でサポートします!
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