90スープラ(A90)オーナーの皆様が、ご自身でのメンテナンスやスタッドレスタイヤへの交換を考えた際、最初の関門となるのが「90 スープラ ジャッキ アップ ポイントはどこか?」という問題です。
GRスープラはBMWとの共同開発車両であり、従来の国産車とは勝手が違うため、「ジャッキアップポイントはどうやって探しますか?」と戸惑う方も少なくありません。
特に、GR スープラ ジャッキパッドといった専用品の使用が推奨される場面もあり、知識なしで作業を行うと「ジャッキアップポイントを間違えるとどうなる?」という、取り返しのつかない車両破損に繋がる重大なリスクがあります。
また、安全な作業に不可欠なジャッキについても、「ジャッキは何トンがおすすめ?」、あるいは比較として「SUVのジャッキは何トン必要ですか?」といった工具選びの疑問も出てくるでしょう。
この記事では、90スープラの正確なジャッキアップポイントの位置特定から、タイヤ交換の具体的な手順、そして気になるスープラ タイヤ交換費用を賢く抑える方法まで、徹底的に解説します。

- 90スープラの正確なジャッキアップポイント(フロント・リア・サイド)
- 安全なジャッキアップ作業に必要な工具とジャッキの選び方
- BMWベース車両特有の「GR スープラ ジャッキパッド」の重要性
- GRスープラ タイヤ交換の具体的な手順と費用を抑えるヒント
本記事の内容
90 スープラ ジャッキ アップ ポイントの基礎知識
- フロントのジャッキアップポイント
- リアのジャッキアップポイント
- GR スープラ ジャッキパッドの必要性
- ジャッキアップポイントはどうやって探しますか?
- ジャッキアップポイントを間違えるとどうなる?
フロントのジャッキアップポイント
90スープラ(A90)のフロント側フロアジャッキポイント(車両全体を持ち上げる中央のポイント)は、エンジンアンダーカバーの中央付近にある、丸く凹んだ箇所です。
これは車両の重心バランスを考慮した強度のあるポイント(メンバー部分)に設定されています。車両を正面から見て、エンジン下部を保護しているアンダーカバーを覗き込むと、他の部分とは明らかに形状が異なる凹みとして設計されています。
ただし、90スープラは純正状態でも最低地上高が低く設計されています。そのため、一般的なフロアジャッキ(ガレージジャッキ)では、ジャッキ本体がバンパーやアンダーカバーに干渉し、奥にあるポイントまで届かないケースが非常に多いです。

補足:ジャッキが入らない場合の対処法
ローダウン車両はもちろん、純正車高であっても、フロアジャッキを差し込むスペースが不足する場合は、タイヤスロープ(カースロープ)が必須アイテムとなります。前輪をスロープに乗り上げさせて数センチ車高を稼ぐことで、ジャッキを差し込むためのクリアランスを確保します。
この中央のポイントにジャッキを正確に当てることで、フロントの両輪を同時に、かつ安全に持ち上げることが可能になります。ジャッキを当てる際は、必ず凹みの中央に正確にセットし、ゆっくりと持ち上げながらズレないかを目視で確認してください。
リアのジャッキアップポイント
リア側のフロアジャッキポイント(中央)は、デフボックス(デファレンシャルケース)本体になります。
デフボックスはリアアクスルの中央に位置し、非常に頑丈な部品のため、ジャッキアップポイントとして指定されています。しかし、ここで最大の注意点があります。
それは、デフケースに設けられた冷却フィンを絶対に避けることです。

警告:冷却フィンへのジャッキアップ厳禁
デフケースには、走行風でデフオイルを冷却するための薄いアルミ製の冷却フィンが付いている場合があります。このフィンは非常に強度が低く、ジャッキをかけると簡単に曲がったり、割れたりしてしまいます。フィンが破損すると、デフオイル漏れを引き起こし、最悪の場合はデフの焼き付きなど、高額な修理が必要となる重大な故障に直結します。
作業前には懐中電灯などでデフボックス周辺をよく照らし、フィンのない平らで頑丈なケース本体部分を正確に確認してからジャッキを当ててください。サスペンションアームやスタビライザーなど、他の部品に誤ってかけないよう、細心の注意が必要です。
ジャッキパッドの必要性
90スープラは、ご存知の通りBMW(Z4)とプラットフォームを共有しています。そのため、車体構造の設計思想もBMW、すなわち欧州車のスタンダードに基づいています。
国産車の多くは、パンタグラフジャッキをかけるポイントとして、サイドシル下部に「ミミ」と呼ばれる2枚重ねの鉄板が突き出た部分があります。しかし、スープラ(BMW)にはこの「ミミ」が存在しません。
その代わりに、車体側面(サイドシル下部)の前後4箇所に、樹脂製のジャッキパッドが装着されているか、または専用のアダプターを差し込むための四角い穴(ジャッキホール)が設けられています。
フロアジャッキやリジットラック(ウマ)をこのサイド4点にかける場合、「GR スープラ ジャッキパッド(ジャッキアダプター)」の使用が必須となります。

なぜジャッキパッドが必要か?
このアダプターは、ジャッキホールの四角い穴に正確に勘合し、車体側の樹脂パーツやサイドシル本体に荷重をかけずに、内部の強固なフレーム(モノコック)に力を伝える役割を果たします。もしアダプターを使わずにジャッキをかけると、サイドシルカバー(樹脂パーツ)が割れたり、車体側の受け部が潰れたりといった破損に直結します。
これらのジャッキパッド(アダプター)は、純正部品として、あるいはサードパーティ製(例:VERUS ENGINEERING、KTC、アストロプロダクツなど)が市販されており、Amazonやカー用品店で1個1,000円〜数千円程度で入手可能です。ゴム製やアルミ製など材質は様々ですが、ご自身のジャッキのお皿の形状に合うものを選びましょう。
ジャッキアップポイントはどうやって探しますか?
ジャッキアップポイントを探すうえで、最も信頼できる情報源は、車両の取扱説明書と整備解説書(リペアマニュアル)です。
1. 取扱説明書
取扱説明書には、通常、パンクなどの緊急時に車載ジャッキ(パンタグラフジャッキ)を使用するためのポイント、すなわち前述の「サイド4点」の位置が図解されています。しかし、フロアジャッキで中央から一括で上げるためのポイント(フロントメンバーやリアデフ)については、記載が省略されているケースも多いようです。
2. GRガレージやディーラーへの問い合わせ
最も確実な方法の一つが、購入したGRガレージやトヨタディーラー、またはBMWの整備に精通した専門店に直接問い合わせることです。「フロアジャッキで前後を一括で上げたいのですが、正式なポイントはどこですか?」と具体的に質問すれば、正確な情報を得られる可能性が高いです。
3. 整備解説書(リペアマニュアル)
プロの整備士が使用する整備解説書には、全てのジャッキアップポイントが正確に記載されています。入手は困難な場合がありますが、これが最も信頼性の高い情報源となります。
4. オーナーの整備情報(Web)
インターネット上の整備手帳にも多くの情報がありますが、これらを参考にする際は注意が必要です。中には誤った情報や、その車両個有の(推奨されない)方法である可能性も含まれます。複数の情報を照らし合わせ、明らかに信頼性の高い(写真や図解が整備解説書に近い)情報を参照するようにしましょう。

ジャッキアップポイントを間違えるとどうなる?
もし指定場所以外にジャッキをかけると、車両に深刻な、時には修復不可能なダメージを与える可能性があります。
以下に、間違った場所にジャッキをかけた場合の発生しうる損傷と二次被害をまとめています。
| 間違った箇所 | 発生しうる損傷と二次被害 |
|---|---|
| フロアパネル(車体の底) | フロアパネルが簡単に凹み、歪みます。 最悪の場合、室内にまで歪みが及び、 雨漏りやシーリングの剥がれによる錆(腐食)の原因となります。 |
| サイドシル(指定穴以外) | 樹脂製のサイドステップカバーが割れます。 また、その内部にあるボディパネルが凹み、 ドアの閉まりに影響が出たり、剛性が低下したりする恐れがあります。 |
| サスペンションアーム類 | アルミ製や中空構造のアーム類は、 車重を支えるようには設計されていません。 曲がりやクラック(ヒビ)が発生し、 アライメントが狂い (まっすぐ走らない、タイヤが偏摩耗する)、 走行安定性を完全に失います。 |
| エンジンオイルパン等 | アルミや樹脂製のオイルパンは非常に脆く、簡単に割れます。 ジャッキアップした瞬間にエンジンオイル(またはATF)が 全て漏れ出し、エンジンブローなど致命的な故障につながります。 |

そして、これら車両の破損以上に最も恐ろしいのが、ジャッキアップ中の車両落下です。
不安定な場所や強度のない場所にかけると、車体が持ち上がる途中で荷重に耐えきれず、ジャッキが滑ったり、かけた場所が破損したりして、数秒で車体が地面に落下します。もし車体の下で作業中であれば、命に関わる重大な人身事故となります。
90 スープラのジャッキアップポイントと整備
- GRスープラ タイヤ交換の手順
- ジャッキは何トンがおすすめ?
- SUVのジャッキは何トン必要ですか?
- スープラ タイヤ交換費用を抑える方法
- 安全な作業に必要な工具とリジットラック
- 90 スープラ ジャッキ アップ ポイント作業の総括
タイヤ交換の手順
90 スープラ(GRスープラ)のタイヤ交換(ホイールごとの履き替え)をDIYで行う際の、安全を最優先した詳細な手順を解説します。作業は必ず自己責任において、慎重に行ってください。
1. 安全の確保と準備
まず、必ず水平・平坦で、硬く舗装された場所(コンクリートのガレージなど)で作業を行います。砂利道や傾斜地は、ジャッキが沈んだり倒れたりするため絶対に厳禁です。
マニュアル車の場合はギアを1速(またはR)に、AT車はPレンジに入れます。サイドブレーキ(パーキングブレーキ)を強く確実にかけます。
ジャッキアップする対角線上にあるタイヤ(例:右前輪を交換するなら、左後輪)の前後に、輪止め(タイヤストッパー)をしっかりと噛ませます。スープラはFR(後輪駆動)なので、Pレンジとサイドブレーキは後輪をロックしますが、前輪を上げる際は後輪に、後輪を上げる際は前輪に輪止めをするのが基本です。
2. ホイールボルトを緩める
ジャッキアップする前に、タイヤが地面に接地した状態で、クロスレンチやブレーカーバー(スピンナーハンドル)を使い、交換するホイールのホイールボルトを約半周〜1周程度、緩めておきます。(完全に抜いてはいけません)
非常に固く締まっている場合がありますが、レンチに足をかけるなど体重をかけるとボルトや工具を破損する恐れがあります。手で緩まない場合は、レンチの柄を少し延長するなど工夫が必要ですが、無理は禁物です。
盗難防止用のキーロックボルトがある場合は、先に専用アダプターを確実に差し込み、緩めておきます。このアダプターを破損・紛失すると非常に厄介なので、慎重に扱ってください。
3. ジャッキアップ
指定されたジャッキアップポイント(サイド4点または中央)にジャッキを正確に当てます。サイドから上げる場合は、前述の「GR スープラ ジャッキパッド(アダプター)」を必ず使用します。
バルブを操作し、ゆっくりと持ち上げます。車体が持ち上がるにつれ、ジャッキや車体からミシミシと音がすることがありますが、慌てず、ジャッキがポイントからズレていないか、常に目視で確認しながら作業します。
4. リジットラック(ウマ)をかける
タイヤが地面から数センチ(タイヤが交換できる最低限の高さ)浮いたら、直ちにリジットラック(ウマ)を車体の指定された頑丈なポイントにかけます。
ジャッキだけで車体を支えたまま、車体の下に手足を入れたり、タイヤ交換作業を続けることは「自殺行為」です。油圧ジャッキは構造上、ゆっくりと圧が抜けて下がったり、内部シールが破損して急に落下したりするリスクを常にはらんでいます。
リジットラックをかけたら、ジャッキのリリースバルブを「ゆっくり」と回し、車重をリジットラックに確実に預けます。ガコンと音がして、リジットラックに車重が完全に乗ったことを確認します。
安全対策の徹底(命綱)
整備記録にある通り、地震や不測の事態に備え、「予備の安全対策(命綱)」を強く推奨します。外したタイヤやホイール、あるいは頑丈なコンクリートブロックなどを、車体の下(フレームやメンバーの下など、万が一落下しても体が挟まれない位置)に置いておきましょう。これが最後の砦となります。
5. タイヤの脱着
リジットラックで安全が確保されたら、先に緩めておいたホイールボルトを全て手で回して外します。スープラは欧州車ベースの「ボルト式」のため、ナット式と違い、ボルトを抜くとタイヤがハブから脱落します。重いので足の上に落とさないよう注意してください。
新しいタイヤを装着する際も、このボルト式が難関です。重いタイヤを持ち上げながら、ハブの穴とホイールの穴を正確に合わせ、ボルトを差し込む必要があります。この作業を劇的に楽にするのが「ホイールセッティングボルト(ガイドボルト)」です。先にガイドボルトを1〜2本差し込んでおけば、それをガイドにしてホイールを楽にはめ込めます。
6. 本締めと確認
ガイドボルトを使いながらホイールを装着し、手で回せるところまで全てのボルトを均等に(対角線上に)締めていきます。
ジャッキを再度かけてリジットラックを外し、タイヤが軽く地面に接地する(タイヤが回転しない)程度まで車体を下ろします。
ここでトルクレンチを使用します。スープラ(A90)の指定トルクは140Nmとされています(必ずご自身の車両の取扱説明書で確認してください)。トルクレンチを指定トルクに設定し、「カチッ」と音が鳴るまで、必ず対角線上の順番(星を描くように)で締め付けます。
締めすぎ(オーバートルク)は、ボルトの伸びや折れ、ハブの歪みを引き起こすため厳禁です。
車両を完全に下ろし、輪止めを外した後、再度トルクレンチで全ボルトが指定トルクで締まっているか最終確認します。最後に、近所を低速で走行し、異音やハンドルのブレがないかを確認して作業完了です。

ジャッキは何トンがおすすめ?
90スープラ(A90)の車両重量は、グレードによりますが約1,410kg〜1,530kgです。ジャッキアップは車重の全てを持ち上げるわけではなく、一輪または半分(前後どちらか)を持ち上げます。
理論上は車重の半分程度(約700〜800kg)ですが、これは静止状態での話です。安全マージンを考慮すると、最低でも2.0トン(2t)以上の能力を持つフロアジャッキを強く推奨します。

なぜ2t以上が推奨されるのか?
1.5tのジャッキでも数値上は上がりますが、能力ギリギリでの使用はジャッキ本体のフレームに過度な負担がかかり、歪みや油圧シールの早期劣化、破損のリスクが高まります。また、能力に余裕がないジャッキは、持ち上げる際の安定性にも欠けます。安全は何物にも代えられません。
さらに、スープラの場合は「能力」と同じくらい「最低地上高」が重要です。車体下に滑り込ませるため、ジャッキの受け皿までの高さが低い「低床(ローダウン)タイプ」(目安として最低位が80mm〜100mm以下のもの)でなければ、ジャッキポイントまで届かない可能性が非常に高いです。安価なジャッキと高価なジャッキの違いは、この低床性能、剛性、そして下ろす際の「リリースバルブ」のコントロール性(ゆっくり下ろせるか)に現れます。
SUVのジャッキは何トン必要ですか?
比較対象として「SUVのジャッキは何トン必要ですか?」という疑問についても解説します。SUVのジャッキ選びは、スープラとは全く逆の視点が必要になります。
1. 能力(トン数)
ランドクルーザーやレクサスLX、あるいは北米製フルサイズSUVなどは、車両重量が2,500kg(2.5t)〜3,000kg(3t)に達するものもあります。そのため、SUVに使用するジャッキは、最低でも3.0トン(3t)以上の能力が推奨されます。
2. 最高地上高(揚程)
スープラが「低床」を求めたのに対し、SUVは「高揚程」を求めます。SUVは最低地上高が高く、サスペンションのストローク(伸び縮みする幅)も長いため、タイヤが地面から浮き上がるまでに、ジャッキをかなり高く上げる必要があります。
スープラとSUVのジャッキ選びの違い(まとめ)
- スープラ:
「低床(最低位が低い)」かつ「2t以上」の能力が重要。 - SUV:
「高揚程(最高位が高い)」かつ「3t以上」の能力が重要。
両方の特性を併せ持つ「低床・高揚程」タイプもありますが、大型で高価になる傾向があります。

タイヤ交換費用を抑える方法
スープラのタイヤ交換費用は、特にタイヤ本体が高額(高性能タイヤやランフラットタイヤなど)ですが、作業工賃部分を節約する方法は存在します。
1. DIY(自分で交換する)
この記事で解説している「ホイールごとの履き替え」(例:夏タイヤホイールセット ⇔ スタッドレスホイールセット)を自分で行う(DIY)のが、最も費用を抑えられる方法です。
初期費用として、フロアジャッキ(約1〜3万円)、リジットラック(約5千円)、トルクレンチ(約5千円〜1万円)、ジャッキパッド(約2千円)などの工具代(合計 約2.2万〜4.7万円)がかかります。
仮に、ディーラーやショップでのシーズン毎の履き替え工賃が5,000円〜1万円とすると、年に2回(春・冬)の交換で年間1〜2万円。約2〜3年で工具代の元が取れる計算になり、それ以降は工賃がゼロになります。
2. タイヤ持ち込み専門店を利用する
これは「ホイールごとの履き替え」ではなく、「タイヤの組み替え(ホイールから古いゴムを外し、新しいゴムをはめる)」の場合です。
タイヤ本体は、価格競争力のあるインターネット通販(Amazonやタイヤ専門ECサイト)で安く購入します。そして、交換作業(組み替え・バランス調整・脱着)のみを、「タイヤ持ち込み歓迎」を謳う専門業者やガソリンスタンドに依頼します。
ディーラーや大手カー用品店では、他店購入品の持ち込み工賃は割高(通常の2倍など)か、断られることもありますが、持ち込みを専門に受け付ける業者であれば、1本あたり2,000円〜3,000円程度の比較的安価な工賃で対応してくれる場合があります。ただし、スープラはランフラットタイヤ装着車や大径・偏平タイヤが多いため、作業可能な設備があるか、追加料金が発生しないかを事前に確認することが必須です。
3. カー用品店や専門店のセールを利用する
タイヤ本体と工賃(組み替え・バランス・脱着)をセットで安く提供する、カー用品店やタイヤ専門店のシーズンオフセール(例:冬前のスタッドレス早期割引)を利用する方法です。タイヤの銘柄が限定される場合もありますが、トータルコストを抑えられる可能性があります。
安全な作業に必要な工具とリジットラック
ジャッキアップ作業の成否は、適切な工具と、それを上回る「安全装備」にかかっています。命を守るために、以下の工具と用品を必ず準備してください。
整備記録にある「地震程度で死にたくないでしょ?」「僕の命が一番大事!」という言葉は、DIY整備を行う全ての人の胸に刻むべき金言です。安全対策は「やりすぎ」ということは絶対にありません。
| 分類 | 工具・用品名 | 主な役割と選定ポイント |
|---|---|---|
| 【最重要】 (安全) | リジットラック (ウマ) | 車体を物理的に支える「命綱」。 ジャッキの能力(例:3t)と同等以上の 耐荷重があるものを最低2基(できれば4基)準備。 高さを細かく調整できるラチェット式が便利。 |
| 必須 (安全) | 輪止め (タイヤストッパー) | ジャッキアップ中に車が動かないよう固定する。 ゴム製や樹脂製の頑丈なもの。 木片などで代用しない。 |
| 必須 (作業) | フロアジャッキ | 車体を持ち上げる。スープラは 「低床(最低位80mm台など)」かつ 「2t以上」の能力推奨。 |
| 必須 (作業) | トルクレンチ | ホイールボルトを規定トルク (スープラは140Nm目安)で締め付ける。 締め忘れやオーバートルクを防ぐ。 プレセット型(カチッと音が鳴るタイプ)が 一般的。 |
| 必須 (作業) | クロスレンチ / ソケットレンチ | ホイールボルトを緩める・仮締めする。 スープラのボルトサイズに適合するソケット (例:17mm)が必要。 |
| 推奨 (安全) | 予備のホイールやブロック | 万が一リジットラックが倒れた際の 「第二の命綱」。 車体下に設置。 |
| 推奨 (作業) | GR スープラ ジャッキパッド | サイド4点で上げる場合や、リジットラックを サイドにかける場合に車体を保護する。 必須に近い推奨品。 |
| 推奨 (作業) | ホイールセッティングボルト | ボルト式のタイヤ交換を劇的に容易にする ガイド棒。 2本あると便利。 |
| その他 | 作業用グローブ・作業灯 | 怪我防止のグローブ(滑り止め付き)。 車体下を正確に照らすLED作業灯(懐中電灯)。 |

特に重要なのが、何度も繰り返しますがリジットラック(ウマ)です。
ジャッキは「上げる」道具、リジットラックは「支える」道具です。この役割分担を絶対に間違えてはいけません。ジャッキアップした車体は非常に不安定であり、ジャッキのみで支えられた車体の下には、たとえ一瞬でも体の一部を入れてはなりません。
また、トルクレンチは精密機器です。使用後は必ずトルク設定を最低値に戻してから保管してください。設定値のまま放置すると、内部のスプリングが「へたり」、正確なトルクが出なくなります。
90 スープラのジャッキアップポイントに関する作業の総括
最後に、90 スープラのジャッキアップポイントに関する作業の要点を、安全確認のチェックリストとしてまとめます。
- 90 スープラのジャッキアップポイントはBMW(欧州車)規格である
- フロント中央ポイントはアンダーカバーの丸い凹み(メンバー部)
- リア中央ポイントはデフボックス本体(冷却フィン厳禁)
- サイド4点で上げる(またはウマをかける)場合は専用ジャッキパッドが必須
- ジャッキパッドは四角い穴に適合する専用品を選ぶ
- 指定ポイントを外すとフロアやサイドシルが確実に破損する
- サスペンションアームやオイルパンには絶対ジャッキをかけない
- 作業場所は必ず水平・平坦・硬質な地面を選ぶ
- ジャッキは「低床」かつ「2トン以上」の能力を推奨
- ジャッキアップ前には必ず輪止めをかける
- ジャッキアップ後は「即座に」リジットラック(ウマ)で車体を支える
- ジャッキだけで支えたまま作業するのは絶対に禁止
- 万一に備え、外したタイヤなどを車体下に置く(二重の安全対策)
- ホイールボルトの締め付けはトルクレンチ(140Nm目安)で行う
- オーバートルク(締めすぎ)もボルト破損の原因となるため厳禁
- 全ての作業は自己責任のもと、安全を最優先して行う