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木材を焦がして味わい深い絵を描く「ウッドバーニング」というアートが静かなブームになっているのをご存知でしょうか。
おしゃれなカフェで出てくるようなロゴ入りのコースターや、雑貨屋さんで見かける可愛いイラスト入りの木製スプーン。
あのような温かみのある素敵なアイテムが、もし自分の手で作れたら、毎日の暮らしがもっと楽しくなりそうですよね。
「でも、専用の道具って高いんじゃないの?」
「絵心がないと難しいんじゃない?」
そんなふうに思って、興味はあるけれどなかなか最初の一歩を踏み出せない方も多いかもしれません。
実際、本格的なウッドバーニング用の電熱ペン(バーニングペン)を検索してみると、温度調整機能がついているものは安くても4,000円〜5,000円、プロ仕様の高性能なものになると1万円を軽く超えてしまいます。
「ちょっとやってみたい」という軽い気持ちで始めるには、少し勇気がいる金額ですよね。

そこで今回、DIY好きの間で密かに流行している裏技、「100均のはんだごて」を使ったウッドバーニングのやり方をご紹介します。

「えっ、はんだごてって電子工作や機械の修理に使う工具でしょ?」と驚かれるかもしれませんが、実はその通りです。
本来は金属(はんだ)を溶かすための工具であるはんだごてを、木材を焦がすためのペンとして代用するという、目からウロコの手法なのです。
これなら、ダイソーやセリアといった身近な100円ショップで道具が一通り揃うため、ランチ一回分程度の驚くほど低い予算でスタートできます。

多くの人が最初は「本当に500円の道具でまともな絵が描けるのか」と半信半疑でスタートします。
しかし、実際にやってみると、その奥深さと楽しさにすっかり魅了されてしまうケースは非常に多いものです。
焦げた木の甘く香ばしい匂いが漂い、ペン先からじわじわと色が変化していく様子、そして世界に一つだけの作品ができあがった時の達成感。
これは、一度味わうと病みつきになる、この作業ならではの魅力的な体験と言えるでしょう。

100均はんだごてでウッドバーニング!やり方とコツを解説
プロとDIYの工具ナビ・イメージ

この記事では、初心者でも絶対に失敗しないための道具の選び方から、温度調整機能がないはんだごてを使いこなすためのマニアックなコツまで、包み隠さず全てお話しします。
また、安価な道具だからこそ気をつけなければならない「安全管理」や「素材の危険性」についても、しっかりとした知識を共有します。
ただ安いだけでなく、安全に、そして長く楽しむためのノウハウを詰め込みましたので、ぜひ最後までお付き合いください。
読み終わる頃には、あなたもきっと100均の工具売り場に走りたくなるはずです。

記事のポイント
  • 100均で揃うウッドバーニングに必要な道具と選び方の完全ガイド
  • 失敗や健康被害を防ぐための木材(素材)に関する科学的な知識
  • 温度調整機能がない30Wはんだごてでプロ並みの濃淡を表現する技術
  • 火災や火傷を防ぎ安全に作業を行うための環境づくりとメンテナンス

100均はんだごてでウッドバーニングを始める道具と種類

ウッドバーニングを始めるにあたって、何よりも大切で、かつ最初に躓きやすいのが「道具選び」です。
「100均ならどれも同じでしょ?」と思って適当に買ってしまうと、全く描けなかったり、すぐに壊れてしまったりと、安物買いの銭失いになりかねません。
実は、店舗によって取り扱っている商品の傾向が全く違いますし、中にはウッドバーニングには不向きな「買ってはいけないもの」も存在します。
ここでは、無駄な買い物をせず、最短ルートで快適な制作環境を整えるための具体的なショッピングガイドをお届けします。

100均はんだごてでウッドバーニングを始める道具と種類
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ダイソーやセリアなどの種類と売り場をチェック

まず、私たちの相棒となる「熱源(はんだごて本体)」についてですが、これは結論から言うとダイソーの「はんだごて(30W)」一択です。
価格は500円(税込550円)となりますが、これが現状、最も入手しやすく、かつウッドバーニングに適したスペックを持っています。
売り場は、文房具コーナーやハンドメイドコーナーではなく、主に「工具コーナー」や「電気小物コーナー」の棚の下の方にひっそりと吊るされていることが多いので、見逃さないように探してみてください。
青やオレンジの台紙に入ったパッケージが目印です。

なぜダイソーの30Wが最強なのか

ダイソーには店舗によって、20W、30W、40Wといった種類の違うはんだごてが並んでいることがあります。
ここで私が30Wを強く推奨するのには、物理的な理由があります。
まず20Wでは熱量が圧倒的に足りません。木材に押し当ててもなかなか色が茶色くならず、線を一本引くのに時間がかかりすぎてストレスが溜まります。
逆に40W以上だと、温度が高すぎて木材が一瞬で炭化してしまい、コントロールが非常に難しくなります。触れた瞬間に真っ黒になり、繊細な表現どころではありません。
その点、30Wは最高温度が約380℃〜450℃程度に達し、木材の発火点や焦げる温度(約250℃〜)に対して、高すぎず低すぎない絶妙なラインを攻めることができるのです。
まさに「ウッドバーニングのエントリーモデル」として奇跡的なバランスを持った製品だと言えます。

ダイソーやセリアなどの種類と売り場をチェック
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セリア・キャンドゥは「素材の宝庫」

一方で、セリアやキャンドゥといった他の100均チェーンでは、現在、はんだごて本体の取り扱いはほとんど確認できません(一部店舗を除く)。
「じゃあ行く意味がないの?」というと、そんなことは全くありません。
むしろ、「本体はダイソー、素材はセリアやキャンドゥ」という使い分けこそが、上級者への近道です。
特にセリアは「木製素材(ウッドベース)」の充実度が凄まじく、おしゃれな形のカッティングボード、桐の箱、ひのきのコースター、木製オーナメントなど、焼くためのキャンバスが山のように売られています。
キャンドゥも、時折独自の面白い木製雑貨を入荷しているので要チェックです。
それぞれのショップの強みを理解して、パズルのように道具を揃えていくのも、100均DIYの醍醐味ですね。

500円商品以外に必要な道具とスタンドの重要性

はんだごて本体をカゴに入れたら、そのままレジに行ってはいけません。
ウッドバーニングは「超高温」を扱う遊びです。
安全を守るための周辺道具がないと、大切な家具を焦がしたり、最悪の場合は家を燃やしてしまうリスクすらあります。
ここでは、本体以外に揃えるべき「三種の神器」をご紹介します。

命を守る「はんだごて台」

絶対に、何が何でも一緒に買ってほしいのが「はんだごて台」です。
作業中、電源が入ったはんだごてのこて先は400℃近い高温になります。
これは、紙や布なら一瞬で発火し、プラスチックならドロドロに溶かす危険な温度です。
初心者のうちは「灰皿や陶器の小皿に置けばいいや」と考えがちですが、これは非常に危険です。
はんだごてはコードが硬く太いため、その反発力でコロッと転がってしまうことがよくあります。
もし転がって床に落ちたり、作業中の用紙などの可燃物に触れたりしたら…想像するだけでゾッとしますよね。
ダイソーやセリアでは、簡易的な金属製のはんだごて台が100円で売られています。
螺旋状の金属ワイヤーでこて先をホールドしてくれるタイプが多く、これがあるだけで安全性が劇的に向上します。
たった100円で火事のリスクを回避できるなら、買わない手はありません。

仕上がりを変える「サンドペーパー」と「カーボン紙」

次に必要なのが「サンドペーパー(紙やすり)」です。
100均の木製品は、安価な分、実は表面が少し毛羽立っていたり、ザラザラしていたりすることが多いんです。
そのまま焼くと、ペン先が繊維に引っかかってガタガタの線になってしまいます。
そこで、描く前に#240〜#400くらいのペーパーで表面を磨き上げます。
このひと手間をかけるだけで、ペン先が氷の上を滑るようにスムーズに動き、驚くほど綺麗な線が引けるようになります。
そしてもう一つが、図案を転写するための「カーボン紙」。
これも文具コーナーで手に入ります。
片面タイプ(黒や青)を選んでおけば、どんな木材にもくっきりと下書きを写すことができますよ。

500円商品以外に必要な道具とスタンドの重要性
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注意点

はんだごて台は軽量なものが多いため、重いコードに引っ張られて台ごと倒れてしまうことがあります。
台の底をガムテープで机に固定するか、延長コードを使ってコードに余裕を持たせるなど、転倒防止策を講じることを強く推奨します。

コルクやコースターなど適した木材の選び方

「道具は揃った!じゃあ何に描こう?」
ここで適当な端材を選んでしまうと、大抵失敗します。
ウッドバーニングの難易度は、実は「木材の種類」によって8割決まると言っても過言ではありません。
初心者にとって魔法のように描きやすい木と、プロでも手を焼く難しい木があるのです。

初心者の救世主「コルク」

初めての方に私が全力でおすすめするのが、「コルク」素材のアイテムです。
ダイソーやセリアに行けば、丸型や角型のコースター、あるいは鍋敷きとして売られています。
なぜコルクが良いのかというと、理由は大きく2つあります。

1つ目は「燃焼温度が低い」こと。
コルクは通常の木材よりも低い温度で炭化するため、30Wのはんだごてを軽く当てるだけで、面白いほど簡単に焦げ目がつきます。
力を入れる必要がなく、まるで太めのサインペンで描いているような感覚で作業できます。

2つ目は「摩擦抵抗が大きい」こと。
表面が適度にザラついているため、ペン先がツルッと滑りすぎず、ゆっくりと線を引く練習に最適なのです。
失敗しても裏返せばもう一度使えますし、何より安価なので、練習用としてコストパフォーマンスも最強です。

白くて素直な「シナベニヤ」

次におすすめなのが、「シナ」や「シナベニヤ」という木材です。
ホームセンターの端材コーナーや、100均の木製パネルの一部(裏面など)に使われています。
シナの特徴は、木肌が真っ白できめ細かく、木目が主張しないこと。
キャンバスが白いので、焼いた茶色がくっきりと鮮やかに発色し、コントラストの美しい作品が作れます。
また、樹脂(ヤニ)が少ないため、焼いている最中にヤニが湧き出して焦げムラになりにくいのも嬉しいポイントです。
本格的なイラストを描きたいなら、まずはシナ材を探してみましょう。

実は難しい?「竹(バンブー)」の罠

100均でよく見かけるおしゃれなカッティングボードやスプーン。その多くは「竹製」です。
「丈夫そうだし、キッチンにも合うし良さそう!」と思うかもしれませんが、実は竹はウッドバーニングにとって「難敵」です。
繊維が非常に硬く密度が高いため、熱伝導率の関係でなかなか熱が入らず、焦げるまでに時間がかかります。
じっと我慢してペン先を押し当てる必要があり、かなりの根気が必要です。
しかし、一度焼き付けば、硬質でシャープな線が描けるため、操作に慣れてきた頃の中級者向けの素材と言えるでしょう。
最初は避けたほうが無難かもしれません。

コルクやコースターなど適した木材の選び方
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豆知識:木目には硬さがある

木材には「冬目(年輪の色の濃い部分)」と「夏目(色の薄い部分)」があります。
冬目は硬くて焦げにくく、夏目は柔らかくて焦げやすい性質があります。
杉や松のような木目がはっきりした木材を使うと、この硬度差でペン先がガタガタと揺さぶられる(ドリフト現象)ので、初心者は避けたほうが無難です。

危険な煙や有毒ガスを防ぐ素材選びの注意点

ここで少し怖い、しかし非常に重要な話をしなければなりません。
100均には多種多様な木材が売られていますが、その中には「絶対に焼いてはいけない素材」が存在します。
これを知らずに作業すると、体調不良を引き起こしたり、部屋中が異臭に包まれたりする可能性があります。
自分の身を守るために、ここだけはしっかり読んでください。

MDF(中密度繊維板)の危険性

100均のDIYコーナーでよく見かける「MDF材」。
これは木材を繊維状にほぐし、接着剤を混ぜて高温高圧で板状に成形したものです。
均質で加工しやすいためDIYでは人気ですが、ウッドバーニングには極めて不向き、かつ危険です。
なぜなら、これを高熱のはんだごてで焼くと、大量の接着剤成分が燃焼することになるからです。
この時、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)を含む、鼻を突くような刺激臭のある煙が発生します。

実際、国土交通省の資料においても、MDFを含む木質建材にはホルムアルデヒドが含まれる場合があることが示されており、シックハウス症候群の原因物質の一つとして厳重に管理されています。通常の使用では問題ありませんが、燃焼させるという行為は想定されていません。

(出典:国土交通省『快適で健康的な住宅で暮らすために』

実際にMDFを焼いてみるとわかりますが、目がチカチカしたり、頭痛がしてきたりすることがあります。
屋内、特に換気の悪い部屋でMDFを焼くことは絶対に避けてください。

危険な煙や有毒ガスを防ぐ素材選びの注意点
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塗装済み木材の見分け方

もう一つのNG素材は、「塗装やニスが塗られた木材」です。
既製品の木箱やフォトフレームなどによくありますが、表面にツヤがあったり、スベスベしていたりするものは要注意です。
これらを焼くと、塗料が熱で溶け出し、有毒なガスが発生するだけでなく、ドロドロに溶けた塗料がこて先にこびりつき、冷めると黒い塊となって固まってしまいます。
こうなると熱が伝わらなくなり、はんだごてが使い物にならなくなります。
素材を選ぶ際は、必ず「無塗装(白木)」のものを選ぶか、もし塗装されているかわからない場合は、目立たない場所を少し削ってみて、木の粉が出るか確認しましょう。

イラストを綺麗に描くための下書きと転写の方法

「私は絵が下手だから、フリーハンドなんて無理…」
そう諦める必要は全くありません。
ウッドバーニングの世界では、プロでもフリーハンドで描く人は稀です。
ほとんどの場合、「転写(トレース)」という技術を使って、完璧な下書きを木材に写してから焼き入れを行います。
これなら、塗り絵感覚でなぞるだけなので、誰でも売り物レベルの作品が作れます。

カーボン紙を使った「鉄板テクニック」

最も確実でポピュラーなのは、100均の事務用品売り場にある「カーボン紙」を使う方法です。
手順は以下の通りです。

  1. パソコンやスマホで描きたいイラストを探し、作りたいサイズに合わせてコピー用紙に印刷する。
  2. 木材の上にカーボン紙(黒い面を下にして)を置き、その上に印刷した紙を重ねる。
  3. 紙が動かないようにマスキングテープでしっかりと固定する。
  4. 赤ボールペンや鉄筆など、少し硬めのペンで図案の輪郭を強めになぞる。

ここでのコツは、「筆圧は強めに、でも線は薄く」という矛盾した調整を行うことです。
カーボン紙の跡が濃く残りすぎると、焼き入れでカバーしきれずに黒い線がはみ出して見えてしまったり、後で消しゴムをかけても消えずに汚くなってしまったりします。
一度端っこをめくって、どのくらいの濃さで写っているか確認しながら進めると良いでしょう。
また、転写が終わったら、焼く前に必ず下書き線を確認してください。
迷い線や不要な線がある場合は、この時点で練り消しゴムなどで修正しておくのが、美しい仕上がりへの第一歩です。

イラストを綺麗に描くための下書きと転写の方法
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トレーシングペーパー活用法

カーボン紙がない場合や、左右反転させたい場合は「トレーシングペーパー」も使えます。
トレーシングペーパーに鉛筆(2B以上推奨)で図案を写し取り、それを裏返して木材に乗せます。
そして、上から爪やヘラの背でゴシゴシと擦ると、鉛筆の粉が木材に移って転写できます。
この方法は線がふんわりと薄くつくので、焼いた後に跡が残りにくく、繊細な作品を作りたい時に特におすすめです。
100均でどちらも手に入りますので、自分に合った方法を試してみてください。

100均はんだごてを使ったウッドバーニングのやり方とコツ

最高の道具と安全な素材、そして完璧な下書き。
ここまで準備ができれば、あとはメインイベントである「焼入れ(バーニング)」の工程です。
しかし、相手は温度調整機能のない暴れ馬、30Wのはんだごて。
何も考えずに押し当てると、真っ黒に焦げたり、逆に全然色が着かなかったりと、洗礼を浴びることになります。
ここでは、このじゃじゃ馬を乗りこなし、思い通りの濃淡を描くためのテクニックを伝授します。

100均はんだごてを使ったウッドバーニングのやり方とコツ
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温度調整ができない道具で濃淡をつける使い方のコツ

専用の電熱ペンであれば、ダイヤルを回して温度を変えることで色の濃さを調整できます。
しかし、ダイソーの30Wはんだごては、コンセントを挿している限り常に全力投球です。
ではどうやって濃淡をつけるのか。
答えはシンプル、「時間(スピード)」をコントロールするのです。

基本原則:ゆっくり=濃い、速い=薄い

熱というものは、接触している時間が長ければ長いほど、深く浸透し、焦げ色が濃くなります。
これを利用します。
くっきりと濃い、太い線を描きたいときは、ペン先をカタツムリのような速度でゆっくりと動かします。
じわじわと木が焦げていく感触を指先で感じながら、熱を染み込ませるように進めます。
逆に、薄い茶色の線や、繊細なラインを描きたいときは、ペン先をサッと素早く滑らせます。
筆記具のようにスラスラ書くのではなく、熱を「置いていく」ようなイメージを持つと上手くいきます。

温度調整ができない道具で濃淡をつける使い方のコツ
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「点描(スティップリング)」でグラデーションを作る

線を引くだけでなく、「点」を打つ技法も非常に有効です。
ペン先をトントンと木材に垂直に当てて、無数の焦げた点を作ります。
この点の密度を高めれば濃い影になり、密度を下げれば淡い影になります。
点描は、温度ムラの影響を受けにくく、失敗しても修正がききやすいため、初心者こそ習得すべきテクニックです。
特に動物の毛並みや、風景画の陰影を表現するのに最適です。
時間はかかりますが、仕上がりのクオリティは格段に上がります。

線が焦げない時や失敗した時の原因と対処法

作業に没頭していると、ある瞬間から急にペン先の調子が悪くなることがあります。
「あれ?さっきまでスムーズに焼けていたのに、急に色が薄くなった…」
「全然熱くない気がする…壊れた?」
これは、ほとんどの場合故障ではなく、こて先の「酸化(黒化)」という現象です。

酸化被膜との戦い

はんだごてのこて先は銅や鉄でできていますが、高温状態で空気中の酸素に触れ続けると、表面に黒い「酸化被膜」が形成されます。
この黒い膜は熱を遮断する断熱材のような働きをしてしまうため、内部のヒーターは熱々でも、肝心の先端に熱が伝わらなくなってしまうのです。
こうなったらメンテナンスの合図です。
一度電源を抜き、完全に冷めてから、目の細かい紙やすり(#400〜#600)で先端の黒い部分を優しく削り落としてください。
銀色の金属光沢が戻れば、熱伝導が復活します。
作業中は、こまめに濡れたスポンジや金たわし(スチールウール)で先端を拭うことで、ある程度酸化の進行を遅らせることができます。

線が焦げない時や失敗した時の原因と対処法
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熱くなりすぎた時のアナログ調整術

逆に、連続使用していると温度が上がりすぎて、触れた瞬間に木が炭化してしまうこともあります。
そんな時は、濡らしたスポンジに「ジュッ」と一瞬押し当てて強制的に温度を下げるか、コンセントを抜いて30秒ほど休ませるという、非常にアナログな方法で温度管理を行います。
「熱すぎるなら冷ます」「冷めたら待つ」。
この対話のような作業も、100均ツールならではの面白さかもしれません。

トラブルの症状考えられる原因具体的な対処法
線が描けない・薄いこて先の酸化
(黒化)
冷ましてからヤスリで酸化膜を削る

こまめにスポンジで拭く
焦げすぎる・黒すぎる温度の上がりすぎコンセントを一時的に抜く

濡れスポンジで冷却
線がガタガタする木材の表面が荒い#400以上のサンドペーパーで
表面をツルツルに磨き直す
グリップが熱くて持てない長時間の連続使用一度作業を中断して休憩する

軍手をして作業する(滑りに注意)

木製スプーンへの名入れや可愛い図案の描き方

100均ウッドバーニングの醍醐味といえば、キッチングッズへのアレンジですよね。
特に木製スプーンやフォークへの名入れは、自分用にはもちろん、出産祝いやちょっとしたプレゼントとしても喜ばれます。
しかし、スプーンは平面の板とは違い、湾曲した「曲面」です。
これが意外と難しいのです。

曲面攻略の鍵は「固定」と「手首」

スプーンを片手で持ちながら描こうとすると、不安定で必ず線がブレます。
テーブルの上に滑り止めシートを敷き、その上にスプーンを置いて、左手(利き手と逆の手)でガッチリと押さえ込みましょう。
場合によっては、濡れ雑巾などを枕にして高さを調整すると安定します。
そして描く時は、手首をテーブルに固定し、指先だけでペンを動かすのではなく、スプーンの方を回すように動かすと、綺麗な曲線が描けます。

木製スプーンへの名入れや可愛い図案の描き方
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衛生的で可愛いデザインの配置

スプーンに描く場合、衛生面も考慮する必要があります。
口に入れる部分(つぼ)や、唇が触れる縁の部分には、あまり深く焼き入れをしない方が無難です。
焦げた部分は炭化しており、使用に伴って摩耗しやすいためです。
おすすめは、持ち手(柄)の部分へのワンポイント。
イニシャルを入れたり、ドット柄やストライプ模様を描いたりするのが簡単でおしゃれです。
スマイルマーク(ニコちゃん)なら、多少線が歪んでもそれが「愛嬌」に見えるので、初心者のファースト作品にはうってつけですよ。
最初は失敗しても心のダメージが少ないよう、100均で3本セットなどの安いスプーンを買って練習することをおすすめします。

つかないトラブルを防ぐメンテナンスと寿命

最後に、道具の寿命について正直にお話しします。
残念ながら、ダイソーのはんだごてをウッドバーニングに使用した場合、その寿命はあまり長くありません。
本来、はんだごては「はんだ」という金属を溶かすためのもので、木材に押し当ててゴリゴリとこするような使い方は想定されていないからです。

こて先の「食われ」現象

木材を焼く際の高温と摩擦、そして炭化した木材の成分によって、こて先のメッキが急速に劣化します。
メッキが剥がれると、中の銅が露出し、熱によってボロボロに侵食される「食われ」という現象が起きます。
先端が凹んでしまったり、いびつな形に変形してしまったら、もう寿命です。
ヤスリがけで復活しないレベルまで劣化したら、潔く新しいものに買い替えましょう。
「500円だし、消耗品だから仕方ない」と割り切れるのも、100均ツールの良さです。

つかないトラブルを防ぐメンテナンスと寿命
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長持ちさせるためのルーティン

少しでも長く使うためには、使用後のケアが大切です。
作業が終わったら、電源を抜く前に、こて先に残った汚れを濡れスポンジで綺麗に拭き取ります。
そして、もし持っていれば「はんだ」を少しだけ溶かして先端にコーティングしておくと、酸化を防ぐことができます(これを予備はんだと言います)。
また、冷ます時は絶対に水をかけたりせず、自然冷却させてください。
急激な温度変化は金属を劣化させ、ヒーターの断線原因になります。
道具を大切に扱う心は、きっと作品の仕上がりにも表れるはずです。

100均はんだごてでウッドバーニングを楽しむまとめ

ここまで、ダイソーなどの100均はんだごてを使ったウッドバーニングのディープな世界をご紹介してきました。
温度調整ができない、持ち手が熱くなりやすい、寿命が短い…確かにデメリットはあります。
しかし、たった500円の道具と100円の素材で、これほどまでに創造性を刺激され、没頭できる趣味はなかなかありません。
何より、焼き上がった瞬間のあの感動は、プライスレスです。

まずは難しく考えず、近所のダイソーで30Wのはんだごてとコルクコースターを買ってみてください。
そして、換気を良くして、火傷にだけは十分に気をつけて、最初の「点」を打ってみてください。
その一歩が、あなたのDIYライフをより豊かで、香ばしいものにしてくれるはずです。
慣れてきて「もっと細かく描きたい!」「もっと快適に作業したい!」と思ったら、その時こそ数千円の専用電熱ペン(マイペンなど)へのステップアップを検討すれば良いのです。
まずは100均から。気楽に、安全に、ウッドバーニングを楽しんでくださいね。

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とっしー
運営者のとっしーです。DIY歴は20年超。数々の失敗から得た経験を元に、工具のレビューや初心者がつまずくポイントを丁寧に解説しています。あなたの「最高の選択」を全力でサポートします!
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