新型ノア(90系)のオーナーになり、「新型ノアにはジャッキがない」という噂を聞いて不安になっていませんか。または、スタッドレスタイヤへの交換をDIYで行おうとして、「車のジャッキはどこに置いてありますか?」と探している方もいらっしゃるでしょう。
90系ノアのジャッキの収納場所は、先代の80系ノアのジャッキの収納場所(荷室の側面)とは異なり、初めて探す際には戸惑うことも少なくありません。また、兄弟車である90系ヴォクシーのジャッキ収納場所についても、同様の情報が求められています。
さらに、万が一のパンクに備え、ジャッキの取り出し方はもちろん、安全に作業するためのジャッキポイントを正確に知っておくことは非常に重要です。取扱説明書を開いても、図解だけでは直感的に分かりにくいと感じる方もいるかもしれません。
加えて、「ノアはスペアタイヤがない」と聞いたけれど、その保管場所は?という標準装備のパンク修理キットに関する疑問や、オプションでのスペアタイヤの場所を選択した場合のアクセス方法、さらには牽引フック収納場所についても、一度に解決したいですよね。
この記事では、これらの疑問を一つひとつ丁寧に、そして詳細に解説します。
この記事を読めば、90系ノアのジャッキや関連工具の収納場所で迷うことはなくなり、いざという時も落ち着いて対処できるようになります。

- 90系ノアのジャッキが収納されている具体的な場所(オプション選択時)
- ジャッキ非搭載(標準仕様)の場合の「応急パンク修理キット」の詳細と注意点
- 先代80系ノアや兄弟車90系ヴォクシーとの収納場所の比較
- 安全なジャッキアップポイント(車載ジャッキ用・フロアジャッキ用)の違い
本記事の内容
90系ノア:ジャッキの収納場所の基本情報
- 車のジャッキはどこに置いてありますか?
- 新型ノアにジャッキはない?
- 取扱説明書で場所を確認
- ジャッキの取り出し方は?
- 80系ノア:ジャッキの収納場所の違い
- 90系ヴォクシー:ジャッキの収納場所は同じ?
車のジャッキはどこに置いてありますか?
90系ノア(2022年1月モデル以降)の車載ジャッキは、ラゲージルーム(トランク)の床下に収納されています。具体的には、一番床下にあるデッキボード(床板)を持ち上げた先にある、発泡スチロール製などの収納トレイの中にあります。
ただし、これは非常に重要な前提条件があります。それは、購入時にメーカーオプションの「応急用タイヤ(スペアタイヤ)」を選択した場合に限られる、ということです。
このオプションを選択すると、応急用タイヤが床下に格納され、その周囲のスペースを利用して、タイヤ交換に必要なジャッキや工具類(ホイールナットレンチなど)が一式で装備されます。

新型ノアにジャッキはない?
「新型ノアにはジャッキがない」という情報は、多くの場合、正しいです。なぜなら、90系ノアの標準仕様(メーカーオプション非選択時)では、ジャッキは搭載されていないためです。
これは故障ではなく、近年の自動車業界のトレンドです。車体の軽量化による燃費向上、そして室内空間やラゲージスペースの効率化を最優先するため、重くてかさばるスペアタイヤとジャッキを廃止する流れが主流となっています。
その代わりに標準装備されているのが、「応急パンク修理キット」です。これについては後のセクションで詳しく解説します。
【補足:ジャッキ非搭載のメリット・デメリット】
メリット:
- 車体が軽くなり、燃費向上に寄与します。
- ジャッキやスペアタイヤが占めていたスペースが、追加の床下収納(ラゲージボックス)として利用できるため、荷室の使い勝手が向上します。
デメリット:
- DIYでのタイヤ交換(スタッドレス履き替えなど)が、車載工具だけではできません。別途、フロアジャッキや工具類を自分で用意する必要があります。
- パンク修理キットでは対応できない損傷(タイヤ側面の裂け、バーストなど)の場合、自走不能となりレッカー移動が必須となります。
取扱説明書で場所を確認
ご自身の車にジャッキが搭載されているか、そしてその正確な場所はどこかを確認する最も確実な方法は、車載されている90系ノアの取扱説明書を読むことです。
紙の冊子が見当たらない場合や、手軽に確認したい場合は、トヨタ自動車の公式ウェブサイトから電子版の取扱説明書(Web取扱書)を閲覧するのが非常に便利です。「万一の場合には」や「パンクしたときは」といった緊急時の対応セクションに、ジャッキや工具類の有無、収納場所、使い方が必ず図解入りで明記されています。
【Web取扱書へのアクセス方法】
トヨタの公式サイトトップページから「サポート」や「オーナーズ&サポート」といったメニューに進み、「取扱説明書」を選択します。そこから車種「ノア」とご自身の車の年式・型式(車検証に記載)を選ぶことで、専用の取扱説明書をスマートフォンやPCで確認できます。
トヨタ自動車 取扱説明書
ジャッキの取り出し方は?
メーカーオプションの応急用タイヤ装着車で、実際にジャッキを取り出す際の手順を解説します。工具類はツールバッグ(布製の袋)にまとめられていることが多いです。
手順1:デッキボードの持ち上げ
まず、ラゲージルーム(トランク)の一番下にあるデッキボードを開けます。車種やグレードによっては、ボードにストラップ(持ち手)が付いている場合があります。ボードを持ち上げ、固定できる場合はフックなどで車体に引っ掛けます。

手順2:タイヤカバー(または収納カバー)の取り外し
デッキボードの下には、応急用タイヤ本体や、工具が収められた発泡スチロール製のトレイ(収納カバー)が見えます。応急用タイヤの上にかぶさっている黒い円盤状のカバーや、工具トレイ自体を取り外します。
手順3:工具の取り出しと固定バンド解除
ツールバッグ(工具袋)に入っているホイールナットレンチやジャッキハンドル(ジャッキを回すための棒)を取り出します。ジャッキ本体は、輸送中に動かないよう、多くの場合ベルクロ(マジックテープ)式の固定バンドやフックで車体に固定されています。このバンドを外します。

手順4:ジャッキ本体の取り出し
最後に、ジャッキ本体を取り出します。この時、ジャッキのネジ部分が伸びてトレイに突っ張っている場合があります。その際は、ジャッキのギヤ部分を手で少し回して縮めると、スムーズに取り出すことができます。

警告:車載ジャッキ(パンタグラフジャッキ)は、あくまで緊急時のタイヤ交換やチェーン装着専用です。整備や点検のために車の下に潜る作業には絶対に使用しないでください。また、使用時は必ず取扱説明書の指示に従い、指定されたジャッキセット位置(後述)に正しくかける必要があります。
80系ノア:ジャッキの収納場所の違い
先代モデルである80系ノア(ZRR80W, ZWR80Gなど)や、さらに前の70系ノアにお乗りだった方は、収納場所の違いに特にご注意ください。
80系ノアの場合、ジャッキはラゲージルームの左側側面(クォーターパネル)の内張りにある、小さなカバー(蓋)の中に縦向きに収納されていることが一般的でした。
対して、90系ノアはプラットフォーム(車台)がTNGA(GA-C)に一新されたことに伴い、設計が大きく見直されました。低重心化やラゲージスペースの最大化のため、関連機材はすべて床下(デッキボード下)に集約するレイアウトに変更されています。
90系ヴォクシー:ジャッキの収納場所は同じ?
はい、90系ノアの兄弟車である90系ヴォクシー(VOXY)についても、ジャッキの収納場所はノアと完全に共通です。
ノアとヴォクシーは、外観デザインや一部の装備グレードが異なるだけで、車台(プラットフォーム)や基本的な構造は同一です。したがって、メーカーオプションの応急用タイヤを選択したヴォクシーであれば、ノアと全く同じラゲージルームのデッキボード下にジャッキと工具類が格納されています。
同様に、標準仕様(スペアタイヤ非搭載車)のヴォクシーも、ジャッキは非搭載で応急パンク修理キットが装備されます。
90系ノア:ジャッキの収納場所と関連装備
- ノアはスペアタイヤがない?保管場所は?
- スペアタイヤの場所
- ノアの牽引フック収納場所
- ジャッキポイント
- ジャッキアップポイントは?
- 90系ノア:ジャッキの収納場所【総括】
ノアはスペアタイヤがない?保管場所は?
前述の通り、現在の90系ノアはスペアタイヤ(応急用タイヤ)が標準装備ではなく、メーカーオプション扱いです。
標準装備(スペアタイヤ非搭載車)の場合は、「応急パンク修理キット」が搭載されています。このキットの保管場所は、ラゲージルームのデッキボード下にある収納スペース(ラゲージボックス)や、車種によってはラゲージ側面のカバー内(DBの整備手帳情報ではリア左側)に設定されています。

キットの内容物は、主に「コンプレッサー(空気入れ)」と「修理溶液(液体)が入ったボトル」の2点です。

応急パンク修理キット使用時の重大な注意点
このキットは手軽に見えますが、使用には大きな制約とデメリットがあります。
- 修理溶液の制約:
純正キットのコンプレッサーは、修理溶液ボトルを介さないと空気を入れられない(単体の空気入れとして使えない)タイプの場合があるとされています。 - タイヤ・ホイールへの影響:
修理溶液を一度タイヤ内部に注入すると、そのタイヤは基本的に再利用不可(要交換)となります。
また、ホイール内部も溶液で汚れるため、タイヤ交換時に専門業者での高額な清掃作業が必要になるか、最悪の場合ホイールセンサーが故障するリスクもあります。 - 修理できないパンク:
このキットが対応できるのは、タイヤの接地面(トレッド面)の小さな釘穴(数ミリ程度)のみです。
タイヤの側面(サイドウォール)の損傷や、大きな裂け傷(バースト)には全くの無力です。
DIYユーザーの中には、これらのデメリットを避け、純正キットは使わずに、別途「単体使用できる社外コンプレッサー」と「プラグ(詰め物)で穴を塞ぐ従来のアナログなパンク修理材」を車載している方も多いようです。
スペアタイヤの場所
メーカーオプションでスペアタイヤ(応急用タイヤ)を選択した場合、その収納場所はラゲージルーム(トランク)の床下、デッキボードの真下です。

デッキボードを開けると、黒い円形のタイヤカバーに覆われた応急用タイヤが確認できます。取り出す際は、タイヤの中央にある大きな手回し式の留め具(固定用のネジ)を反時計回りに回して緩め、スペアタイヤ本体を真上に持ち上げて取り出します。
【応急用タイヤ(テンパータイヤ)の注意点】
このタイヤは、その名の通り「応急用」です。タイヤの側面には「TEMPORARY USE ONLY」と記載されています。装着した場合、速度は時速80km以下に制限され、長距離走行はできません。あくまで最寄りの修理工場まで安全に移動するためのものです。また、空気圧が標準タイヤより高く設定されているため、定期的な空気圧点検も忘れないようにしましょう。
ノアの牽引フック収納場所
牽引フック(トーイングフック)は、雪道や泥道でスタック(動けなくなった)した際や、故障で自走不能になった際に、他の車に牽引してもらうための重要な金属製のフックです。
牽引フックは応急修理パンクキットの上に、収納されています。

使用する際は、フロントバンパーやリアバンパーにある小さな四角いカバーをマイナスドライバーなどでこじ開け、露出したネジ穴にこのフックを時計回りにねじ込んで取り付けます。

ジャッキポイント
ここで解説する「ジャッキポイント」とは、DIYでのメンテナンスやタイヤローテーション時に使用する、フロアジャッキ(ガレージジャッキ)をかけるための、車体下部にある強固な指定部分を指します。
パンク時に車載ジャッキを使用する「ジャッキセット位置(サイドシル)」とは全く異なる場所ですので、絶対に間違えないでください。フロアジャッキは安定性が高く、一度に前輪または後輪の左右両方を持ち上げられるメリットがあります。
フロントのジャッキポイント
フロントは、車両の中央、フロントバンパー下から奥を覗き込むと確認できる、サスペンションメンバー(車体の骨格部品)の中央付近にある突起部分(補強プレート)です。かなり奥まった位置にあるため、奥行きの長いローダウン対応のフロアジャッキでないと届かない可能性があります。
リアのジャッキポイント
リア(4WD)については、リアバンパー下から覗いて比較的分かりやすい位置にあるフレームの指定部分(デフキャリア前方のメンバーなど)です。(※ディファレンシャルギアのケース自体を直接ポイントにすると、ケース破損の危険があるため、必ず指定されたフレーム部分にかけてください)

【最重要:命に関わる警告】
- フロアジャッキ用のジャッキポイントは、車のモデル(2WD/4WD/ハイブリッド/ガソリン)や年式によって厳密に異なります。
整備手帳の情報はあくまで一例です。 - 必ずご自身の車の取扱説明書や、信頼できる整備書で正しい位置を確認してください。
位置を誤ると車体が変形・損傷します。 - ジャッキアップした後は、必ずジャッキスタンド(ウマ)を車体の強固な部分(サイドシルのジャッキセット位置など)にかけて車体を支えてください。
ジャッキだけで支えた車の下に体を絶対に入れないでください。
ジャッキが外れ、車体が落下する死亡事故につながります。
ジャッキアップポイントは?
一方、こちらの「ジャッキアップポイント」とは、主にパンク修理などの際に、車に付属の車載ジャッキ(パンタグラフジャッキ)をかける専用の場所(ジャッキセット位置)を指します。
このポイントは、車両の側面、ドアの下部(サイドシルと呼ばれる鉄板部分)にある、2ヶ所の「切り欠き」(凹み)です。前後タイヤのすぐ近く(前輪ならタイヤの後ろ側、後輪ならタイヤの前側)にそれぞれ設けられています。
この「切り欠き」は、板金が2枚合わさってスポット溶接されている強度の高い部分です。車載ジャッキの頭部にある溝(凹み)を、この車体側の切り欠き部分に、しっかりと噛み合うように合わせてセットします。

ジャッキセット位置の注意点
- 平らな場所で使う:
車載ジャッキは構造上不安定です。
必ず地面が固く平らで安全な場所で使用してください。
砂利道や坂道での使用は横転の危険があり非常に危険です。 - 指定場所以外はNG:
切り欠き以外の平らなサイドシルや、フロア(床下)にジャッキをかけると、車体がいとも簡単に凹み、損傷します。 - 安全手順の徹底:
作業前に必ずパーキングブレーキをかけ、シフトレバーをPにし、エンジンを停止させます。
そして、パンクしたタイヤの対角線上にあるタイヤ(例:右前輪がパンクなら、左後輪)の前後に輪止めをかけることで、車が不意に動くのを防ぎます。
90系ノア:ジャッキの収納場所【総括】
最後に、90系ノアのジャッキ収納場所と関連装備に関する要点を総括します。
- 90系ノアのジャッキは「メーカーオプション」扱い
- オプションの「応急用タイヤ」を選択した場合にのみジャッキが付属する
- 標準仕様(ジャッキ非搭載)の場合は「応急パンク修理キット」が装備される
- 90 ノア ジャッキ 収納場所はラゲージルーム(トランク)の床下(デッキボード下)
- 応急用タイヤや工具類と同じ収納スペースに格納されている
- ジャッキの取り出しは、デッキボードを開け、収納カバーを外し、固定バンドを解除する
- 兄弟車である90系ヴォクシーのジャッキ収納場所もノアと全く同じ
- 先代の80系ノアは荷室側面の内張り内が主流だったため、90系とは場所が異なる
- 標準装備のパンク修理キットは、タイヤのトレッド面の小さな穴にしか対応できない
- 修理キットの溶液を使用すると、そのタイヤは基本的に再利用不可となる
- 90ノアのスペアタイヤの場所も、オプション選択時はラゲージ床下
- スペアタイヤは時速80km制限の応急用(テンパータイヤ)
- 牽引フックはツールバッグ内に他の工具(レンチ等)と同梱されている
- 車載ジャッキをかける場所は、側面サイドシルの「切り欠き」(ジャッキセット位置)
- フロアジャッキをかける場所は、車体下部(前後メンバー)の指定「ジャッキポイント」
- フロアジャッキ使用時は、ジャッキポイントの位置を誤らないこと
- ジャッキアップ作業時は、必ずジャッキスタンド(ウマ)を併用し安全を確保する
- 作業前には必ず平坦な場所でPレンジに入れ、輪止めをすること
- 最も正確な情報は、必ずご自身の車の「取扱説明書」で確認する