車のエアコンパネルやスイッチ類を自分好みの色にカスタムする「LED打ち替え」。DIYでの挑戦を考える際、多くの人が最初にぶつかる壁が、led 打ち替えに最適なはんだごての選び方ではないでしょうか。
適切なはんだごての温度設定や、交換するLEDのサイズ、そして正しいやり方を理解していないと、せっかく作業してもLEDが光らないといったトラブルに見舞われる可能性があります。また、市販のled打ち替えキットには何が含まれているのか、専門のled打ち替え業者に依頼した場合の料金や、メーターのled打ち替え工賃はどのくらいかかるのか、といった費用面の疑問も尽きません。さらに、オートバックスのような身近な店舗で車の打ち替え作業を依頼できるのかどうかも気になるところです。
この記事では、LED打ち替えに挑戦するあなたのそんな疑問や不安を解消し、必要な道具選びから具体的な作業手順、費用相場までを網羅的に解説します。
この記事でわかること
- LED打ち替えに適したはんだごての選び方
- 打ち替え作業に必要な道具と具体的な手順
- 失敗しないための注意点とトラブル対処法
- 業者に依頼する場合の料金相場と依頼先の情報

本記事の内容
led 打ち替えのためのはんだごての選び方と必須ツール
- led打ち替え用キットで揃えるべき基本道具
- led打ち替えにははんだごての温度管理が最重要
- LED打ち替えはチップのサイズ確認が必須
- 基本的なLED打ち替えのやり方を解説
- LED打ち替えで光らない原因と対処法
led打ち替え用キットで揃えるべき基本道具
LED打ち替えを成功させるためには、はんだごて以外にもいくつかの専門的な道具を揃える必要があります。精密な作業を正確かつ効率的に進めるために、これらの道具は不可欠と言えるでしょう。市販のキットもありますが、個別に質の良いものを選ぶのがおすすめです。

具体的に必要となる主な道具は以下の通りです。
道具 | 推奨スペック・ポイント |
---|---|
はんだごて | 温度調整機能付きのものを最低1本。 純正LEDの取り外しを効率化するために2本あると(二刀流)非常に便利です。 |
こて先 | チップLEDのような細かい作業には、先端が細いタイプが必須。 特に先端が斜めにカットされた「C型」の細いもの (例:HAKKO T18-C1)がおすすめです。 |
糸ハンダ | 細かい部分にはんだを供給しやすいため、 直径0.6mm程度の細いタイプが適しています。 太いとはんだがダマになりやすいです。 |
はんだ吸取線 | 基板に残った古い純正はんだを除去したり、 はんだ付けに失敗した際の修正に使ったりします。 必須アイテムの一つです。 |
ピンセット | 小さなチップLEDを掴むために使います。 一般的なものではなく、先端が細く、カーブしている精密作業用のものが 部品を保持しやすく便利です。 |
こて台 | 高温になるはんだごてを安全に置くための台。 こて先のクリーニング用スポンジが付いているものが一般的です。 |
フラックス | はんだの濡れ性を向上させ、きれいなはんだ付けを補助する薬品。 必須ではありませんが、あると作業性が格段に向上します。 |
これらの道具は、ホームセンターや電子部品専門店、オンラインショップなどで揃えることができます。特に、はんだごて、こて先、糸ハンダの3点は、作業のクオリティに直結するため、信頼できるメーカーのものを選ぶことをおすすめします。
led打ち替えにははんだごての温度管理が最重要
LED打ち替え作業において、最も重要な要素が「はんだごての温度管理」です。なぜなら、作業工程によって最適な温度が異なり、特にチップLEDは熱に非常に弱い性質を持っているからです。
温度調整機能がない安価なはんだごては、コテ先温度が500℃以上に達するものもあり、このような高温では一瞬でLEDを破損させてしまいます。そのため、必ず温度調整機能が付いたはんだごてを選んでください。

作業工程別の推奨温度
純正LEDの取り外し時:約380℃
最近の自動車の基板には、融点が高い「無鉛はんだ」が使われていることが多く、取り外すには比較的高めの温度が必要です。はんだがしっかり溶けないうちに無理に外そうとすると、基板の電極(ランド)を剥がしてしまう原因になります。
新しいLEDの取り付け時:約330℃~350℃
一方、新しいLEDを取り付ける際は、できるだけ低い温度で作業するのが鉄則です。LED素子は熱に弱いため、高温にさらし続けると点灯しなくなります。350℃以下で、短時間で作業を終えるのが理想です。
おすすめモデル:HAKKO FX-600
多くのDIYユーザーやプロから支持されているのが、白光株式会社の「FX-600」です。200℃から500℃までダイヤルで簡単に温度調整ができ、価格と性能のバランスに優れています。LED打ち替えを始める最初の一本として最適なモデルと言えるでしょう。
注意点:こて先の温度低下
はんだごての表示温度は、何も接触していない状態の温度です。基板に当てると熱が奪われて温度が下がります。だからといって長時間当て続けるとLEDや基板を痛めるため、「適切な温度設定で、手早く作業する」技術が求められます。
LED打ち替えはチップのサイズ確認が必須
LED打ち替えを行う前に、必ず交換対象の純正LEDチップのサイズを確認する必要があります。チップLEDには様々な規格サイズがあり、違うサイズのものを購入してしまうと、基板のランド(電極パターン)に合わず物理的に取り付けができません。

自動車の内装でよく使われるチップLEDのサイズには、以下のようなものがあります。
- 3528サイズ (3.5mm × 2.8mm):
比較的大きく、初心者でも扱いやすい。 - 3216サイズ (3.2mm × 1.6mm):
やや小型のサイズ。 - 2012サイズ (2.0mm × 1.2mm):
かなり小さく、難易度が上がる。 - 1608サイズ (1.6mm × 0.8mm):
極小サイズ。非常に難易度が高く、上級者向け。
最近の車ほど、LEDの小型化が進む傾向にあります。特に1608サイズのような極小チップは、肉眼での作業が困難なレベルであり、はんだ付けの難易度も格段に上がります。
初心者は大きなサイズから挑戦しよう
いきなり小さなサイズの打ち替えに挑戦すると、失敗する可能性が非常に高くなります。まずは3528サイズなど、比較的大きなチップLEDの打ち替えで練習し、はんだ付けの感覚を掴んでから、より小さなサイズに挑戦することをおすすめします。
サイズの確認方法は、ノギスなどで実物を測定するか、同じ車種の打ち替え情報をインターネットで探すのが確実です。
基本的なLED打ち替えのやり方を解説
ここでは、温度調整機能付きのはんだごてを使った、基本的なチップLEDの打ち替え手順を解説します。正しい手順とコツを掴めば、DIYでも美しい仕上がりが可能です。

ステップ1:純正LEDの取り外し
最も効率的なのは、はんだごてを2本使う「二刀流」です。LEDの両端にあるはんだを同時に溶かすことで、基板に負担をかけずにスムーズに取り外せます。
1本しかない場合は、片方のはんだを溶かし、すぐにもう片方を溶かして、両方が柔らかいうちにピンセットで持ち上げますが、慣れが必要です。 重要なのは、はんだが完全に溶けてから「すっ」と持ち上げること。無理に引っ張ると基板のランドが剥がれて修復が困難になります。
ステップ2:古いはんだの除去
純正LEDを取り外した後のランドには、古い無鉛はんだが残っています。この上から新しいはんだを乗せると付きが悪いため、はんだ吸取線を使ってきれいに除去します。ランドにはんだ吸取線を当て、その上からはんだごてで熱を加えて吸い取ります。
ステップ3:予備はんだ
次に、新しいLEDを取り付ける準備をします。左右どちらか片方のランドにだけ、新しい糸ハンダを少量盛ります。これを「予備はんだ」と呼びます。
ステップ4:新しいLEDの片側を固定
精密ピンセットで新しいLEDをつかみ、極性(プラスとマイナスの向き)を間違えないように注意しながら位置を合わせます。そして、予備はんだを盛った側のランドにLEDの電極を乗せ、はんだごてで予備はんだを溶かしてLEDの片側を固定します。
この時、はんだごてのコテ先がLED素子本体に直接触れないよう、細心の注意を払ってください。直接触れると熱で一瞬で破損します。
ステップ5:反対側のはんだ付け
片側が固定されたら、最後に反対側の電極をはんだ付けします。コテ先に少量の糸ハンダを取り、電極とランドを繋ぐようにはんだを流し込めば完了です。
LED打ち替えで光らない原因と対処法
慎重に作業したつもりでも、「LEDが光らない」というトラブルは起こりがちです。その原因はいくつか考えられますので、慌てずに対処しましょう。

原因1:はんだ付けの不良
最も多い原因がはんだ付けの失敗です。見た目がイモのように丸くなっている「イモはんだ」や、はんだの量が少なすぎて接触不良を起こしているケースが考えられます。この場合は、再度フラックスを塗り、はんだごてを当ててはんだを溶かし直す(追いハンダ)ことで改善することがあります。
原因2:LEDの熱による破損
はんだ付けの際に長時間熱を加えすぎたり、高すぎる温度で作業したりすると、LED素子が熱で破壊されてしまいます。この場合はLED自体が故障しているため、新しいLEDに交換するしかありません。
原因3:極性(+/-)の間違い
LEDにはプラスとマイナスの極性があり、逆向きに取り付けると点灯しません。LEDチップの裏側にあるマーキングなどで極性を確認できますが、非常に見えにくいため、作業前に「ピンセット型LEDチェッカー」などで点灯確認と極性確認をしておくと確実です。間違えて付けた場合は、一度取り外して正しい向きで付け直す必要があります。
原因4:VF値(順方向電圧)の違い
これは少し専門的な話になりますが、LEDを光らせるために必要な電圧(VF値)が、LEDの色によって異なることが原因で光らない(または暗い)ケースがあります。
一般的に、赤やオレンジ、緑といった従来の色はVF値が約2.0Vと低い一方、後から開発された白や青のLEDはVF値が約3.2V以上と高くなっています。
もし、元々オレンジのLEDが付いていた回路に、単純に白のLEDを打ち替えると、回路からの電圧が足りずに「全く光らない」または「非常に暗い」という現象が起こることがあります。この場合、抵抗の変更など電子回路の知識が必要となり、DIYでの対応は難しくなります。
led 打ち替えのはんだごて作業の費用と業者依頼
- プロに頼めるled打ち替え業者の探し方
- 目安となるled打ち替えの料金とは?
- メーターのled打ち替え工賃はどのくらい?
- 車のled打ち替えはオートバックスで可能?
- 【まとめ】失敗しないled打ち替え用はんだごての選び方
プロに頼めるled打ち替え業者の探し方
「自分でやるのは不安」「道具を揃えるのが大変」という方は、プロの業者に依頼するのが賢明な選択です。LED打ち替えを専門に行う業者や、自動車の電装系カスタムを得意とするショップが主な依頼先となります。

業者を探す際は、インターネットで「LED打ち替え 業者」や「(地域名) 電装カスタム」といったキーワードで検索するのが一般的です。その際、以下の点を確認すると良いでしょう。
- 施工実績:
ウェブサイトやブログ、SNSなどで、過去の作業事例が豊富に掲載されているか確認します。
自分の車種と同じ作業実績があれば、より安心です。 - 料金体系:
料金が明確に提示されているかを確認します。
基本料金、LED1個あたりの追加料金、分解・組立工賃などが分かりやすく記載されている業者は信頼できます。 - 評判・口コミ:
車好きが集まるSNSや、Googleマップのレビューなどで、実際に利用した人の評判を確認するのも有効な手段です。
専門業者は、窒素ガスはんだごてのような特殊な設備を使用していたり、顕微鏡を使いながら作業を行っていたりするため、DIYとは比較にならない高いクオリティが期待できます。確実性を求めるなら、プロへの依頼を強くおすすめします。
目安となるled打ち替えの料金とは?
LED打ち替えの料金は、交換するLEDの点数や、作業対象となる部品(パネルやスイッチ)の分解・組立の難易度によって大きく変動します。

あくまで一般的な目安ですが、専門業者のウェブサイトに掲載されている料金例を参考にすると、以下のような価格帯が一つの基準となります。
料金体系の例
- 基本料金(LED10点まで):
9,000円~15,000円程度 - 追加料金(11点目以降):
LED5個ごとに追加で2,000円~3,000円程度 - 分解・組立費用:
1ユニットあたり2,000円~5,000円程度(別途) - LED部品代:
1個あたり80円~150円程度(別途)
例えば、エアコンパネルのLEDを20個交換する場合、「基本料金+追加料金(2回分)+分解組立費用+部品代」が合計金額となります。正確な料金は、基板やユニットを業者に見せて見積もりを取る必要があります。
自己修理失敗の場合
自分で打ち替えに挑戦して失敗し、基板のランド剥がれなどを起こしてしまった場合、その修復作業に追加料金(1箇所あたり500円~1,000円程度)が発生することがほとんどです。自信がない場合は、最初からプロに任せた方が結果的に安く済むこともあります。
メーターのled打ち替え工賃はどのくらい?
車の内装の中でも特に人気の高いメーターパネルのLED打ち替えですが、工賃は他のパネル類よりも高くなる傾向にあります。その理由は、分解・組立の作業が非常に複雑で、リスクを伴うためです。

料金が高くなる主な理由
針の脱着作業
スピードメーターやタコメーターの針は、一度抜き取ってから作業し、再度正確な位置に戻す必要があります。この針の扱いには非常に高度な技術と経験が求められます。
ゼロ点調整のリスク
車種によっては、メーターの針を抜いた際に軸がずれてしまい、元の位置に戻してもゼロ点が狂ってしまうことがあります。この場合、車両に取り付けて電源を入れながら再調整する必要があり、作業が非常に煩雑になります。こうしたリスクがあるため、業者は高い工賃を設定せざるを得ません。
具体的な工賃は車種やメーターの構造によって異なりますが、通常の分解・組立費用に加えて、数千円から1万円以上の追加料金がかかることも珍しくありません。メーターの打ち替えを検討している場合は、必ず事前に業者へ車種を伝えて、リスクと工賃を詳しく確認することが重要です。
車のled打ち替えはオートバックスで可能?
身近なカー用品店であるオートバックスやイエローハットでLED打ち替えを依頼できれば便利ですが、結論から言うと、基板からLEDチップを交換する「打ち替え」作業は、基本的に受け付けていません。

オートバックスなどで行っているLED関連の作業は、主に以下のようなものです。
- ヘッドライトやテールランプ、ルームランプなどの「電球(バルブ)」をLEDバルブに交換する作業
- テープLEDなどの後付けLEDアクセサリーの取り付け作業
これらの作業は、既存のコネクター(カプラー)を抜き差しするだけで交換できるものがほとんどです。一方で、エアコンパネルなどの「LED打ち替え」は、基板を分解してはんだ付けを行う高度な電子工作作業にあたります。これには専門の設備と高い技術力、そして作業リスクが伴うため、一般的なカー用品店のピットサービスメニューには含まれていないのが現状です。
したがって、車のLED打ち替えを依頼したい場合は、オートバックスのような量販店ではなく、前述したような「LED打ち替え専門業者」や「電装カスタムショップ」に相談する必要があります。
【まとめ】失敗しないled打ち替え用はんだごての選び方
この記事では、LED打ち替えに必要となるはんだごての選び方から、具体的な作業方法、業者に依頼する際の費用までを解説しました。最後に、重要なポイントをリストで振り返ります。
- LED打ち替えには温度調整機能付きのはんだごてが必須
- おすすめモデルは価格と性能のバランスが良い白光のFX-600
- 純正LEDを外す際はハンダごて二刀流が効率的
- こて先は細いC型(T18-C1など)が作業しやすい
- 糸ハンダは0.6mmなどの細いタイプを選ぶ
- はんだ吸取線と精密ピンセットも必ず用意する
- 取り外し時の温度は高め(約380℃)、取り付け時は低め(約330℃)が目安
- 事前に交換するLEDチップのサイズ(3528、1608など)を確認する
- 無理に引っ張らず、はんだを溶かして持ち上げるのが基板を傷めないコツ
- 光らない原因ははんだ不良、熱破壊、極性の間違いが多い
- LEDチェッカーで事前に極性を確認すると失敗が減る
- 白や青のLEDは必要な電圧(VF値)が高く点灯しない場合がある
- 業者依頼の料金はLED10点で1万円前後が目安となる
- メーターパネルは針の脱着リスクがあるため工賃が高くなる傾向がある
- オートバックスなど大手カー用品店では基板の打ち替え作業は基本的に不可
- 少しでも不安があれば無理せず専門業者に依頼するのが最善の策