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ガレージの棚やベランダの屋根、あるいはちょっとした家具の補強など、DIYにおいて軽くて丈夫なアルミやスチールのアングル材(Lアングルや山形鋼とも呼ばれます)は非常に頼りになる存在ですね。
木材とは違ったシャープな質感や強度は、作品のクオリティを一気に高めてくれます。

しかし、いざホームセンターの売り場で3メートルや4メートルもある長いアングル材を目の前にすると、「これ、どうやって持って帰ればいいの?」
「自分の車には絶対に入らない」
「家には金属を切る道具なんてないし、自分で切るのは火花が出そうで怖い」
といった切実な問題に直面するのではないでしょうか。
また、
「お店で希望のサイズにカットしてもらえるのか」
「持ち込みの材料でも対応してくれるのか」
「複雑な斜めカットは可能なのか」
といった疑問や不安で、なかなか購入に踏み切れない状態の方もいるかもしれません。
また、店舗によっては木材カットコーナーしかなく、金属は門前払いということも珍しくありません。

この記事では、主要なホームセンター各社のLアングルカットサービスの対応状況を徹底的に比較・解説します。さらに、なぜ持ち込みが断られるのかの裏事情、具体的な料金の目安、そして万が一お店で断られた場合に自分で安全に切断する方法まで、あなたの「困った」を解決するための情報を網羅しました。

この記事を読み終える頃には、あなたはもうアングル材の加工や運搬に悩むことなく、自信を持って次のDIYプロジェクトをスタートできるようになっているはずです。

記事のポイント
  • 主要ホームセンター各社のLアングルカット対応状況の違いと選び方
  • なぜ持ち込み品の加工が原則として断られるのか、その納得のいく理由と代替策
  • スチールやアルミ、ステンレスといった素材ごとの加工難易度と、店舗でのカット料金相場
  • お店で切れない場合に、自分で安全かつ正確にLアングルを切断するための具体的な手順と道具

Lアングルカットのホームセンター対応と料金相場

結論から申し上げますと、ホームセンターといってもその対応は千差万別で、「木材専用」のお店もあれば、「鉄工所顔負けの設備」を持つお店もあります。

ここでは、無駄足を避けるために知っておくべき各チェーンの傾向とサービスの実態を詳しく解説していきます。

Lアングルカットのホームセンター対応と料金相場
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コーナンやカインズ等の加工サービス比較

一口にホームセンターと言っても、一般家庭向けの店舗と、プロの職人さんをターゲットにした店舗では、金属加工への対応力が天と地ほど違います。私が実際に利用したり調査したりした範囲での、主要チェーンごとの傾向を詳しく見ていきましょう。

コーナン / コーナンPRO

関西を中心に全国展開するコーナンは、一般向けの「ホームセンターコーナン」と、職人向けの「コーナンPRO」で対応が明確に分かれています。

  • コーナンPRO:
    ここは金属加工の「駆け込み寺」と言っても過言ではありません。
    建築現場で働く職人さんが日常的に利用するため、資材館には「高速切断機」や「バンドソー」といった金属専用の切断機が常設されていることが多いです。
    スチールアングルや単管パイプのカットであれば、非常にスムーズに対応してくれるでしょう。

  • ホームセンターコーナン(一般店):
    こちらは基本的に「木材カット」がメインです。アプリ会員限定の「木材カット無料クーポン(1日10カットまで)」も、金属カットには適用されないケースがほとんどですので注意が必要です。

カインズ (CAINZ)

カインズは「自分でやる(Do It Yourself)」を強く推奨しているチェーンです。そのため、「店員さんが切って渡してくれる」サービスよりも、「場所と道具を貸すから自分でやってみてね」というスタンスが強いのが特徴です。

  • カインズ工房(CAINZ DIY Square):
    多くの店舗に併設されているこの工房では、購入した商品を加工するための作業スペースを利用できます。
    店舗スタッフによる金属カットサービスは限定的(または実施していない)ことが多いですが、その代わり、金属切断用の工具(ディスクグラインダーや金切ノコなど)をレンタルして、店内で自分で切断することが可能です。
    「自分で切りたいけど場所と道具がない」という方には最適解の一つと言えます。

コメリ (KOMERI)

店舗数日本一を誇るコメリは、特に地方部において農業や建設の強い味方です。

  • コメリパワー:
    大型店である「パワー」の資材館は、非常に頼りになります。農業用のパイプやハウス資材、そしてアングル材の取り扱いが豊富で、それらを現場ですぐ使えるように加工するサービスが充実しています。金属カットはもちろん、店舗によってはボール盤による「穴あけ加工」まで対応しているところもあり、これは他社にはない大きな強みですね。

ジョイフル本田

関東エリアにお住まいの方ならご存知、規格外の超大型ホームセンターです。「ジョイフル本田に無ければ諦める」と言われるほどの品揃えを誇ります。

  • 加工センター:
    専任の熟練スタッフが常駐する加工センターがあり、木材・金属・ガラス・アクリルなど、あらゆる素材のカットに対応している店舗が多いです。
    設備も本格的で、精度の高いカットが期待できますが、その分、休日は混雑して待ち時間が長くなることもあります。

ロイヤルホームセンター

大和ハウスグループが運営しているため、建築資材へのこだわりが強いチェーンです。

  • ロイヤルプロ:
    会員制度が充実しており、プロ会員であればカット料金が優遇されるなどの特典があります。
    金属カットにも柔軟に対応してくれる店舗が多く、安心して相談できます。
ホームセンター
チェーン
主な業態・
特徴
金属カット
対応度
料金目安
(1カット)
備考
コーナンPROプロ職人向け
資材館
非常に高い50円~
100円
高速切断機など
設備充実
コーナン
(一般店)
一般向け店舗低い
(木材中心)
-木材以外は
断られる場合が
多い
カインズDIY工房併設店セルフ
加工推奨
工房利用
無料~
店員による
カットは
店舗による
コメリパワー大型資材・
農業館
高い50円~
100円
穴あけ加工
対応店もあり
ジョイフル本田超大型
ホームセンター
非常に高い要確認専任スタッフと
専用設備あり
DCM /
ビバホーム
地域・
店舗規模による
中~高い要確認大型資材館が
ある店舗を推奨
コーナンやカインズ等の加工サービス比較
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🚨 ここがポイント!行く前の鉄則

上記はあくまで全体的な傾向です。同じチェーン店でも、店舗の規模や設備、担当者のスキルによって対応は異なります。無駄足を防ぐためにも、来店前に必ず電話で「Lアングルのカットは可能ですか?」「金属用の切断機はありますか?」と確認することを強くおすすめします。

他店購入品の持ち込みカットが断られる理由

「ネット通販で買ったLアングルなんだけど、家で切れないからホームセンターに持ち込んで切ってもらおう」「以前買った余りのアングルをサイズ調整したい」

このように考える方は非常に多いのですが、残念ながら、ほぼ全てのホームセンターにおいて「他店購入品の持ち込みカット」はお断りというのが業界の常識となっています。「お金を払うのだからやってくれてもいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、これには単なる意地悪ではなく、企業としてどうしても無視できない合理的な理由があるのです。

1. 材質不明による機械破損のリスク

これが最大の理由です。アングル材と一口に言っても、柔らかいアルミから、一般的な鉄(SS400)、さらには焼き入れ加工された硬い特殊鋼まで様々です。 見た目では区別がつかないこれらの金属を、もし誤って通常の切断機に入れてしまったらどうなるでしょうか?

金属を切断する「チップソー」という刃は、1枚で数万円もする非常に高価な消耗品です。もし硬い異種金属や、内部に異物が含まれている材料を切ろうとすると、一瞬で刃が欠けたり割れたりしてしまいます。 たった50円や100円のカット代で、数万円の刃を破損させるリスクを負うことは、ビジネスとして成立しません。

2. 弁済・補償ができないという致命的な問題

加工サービスには、人間が作業する以上、どうしてもミスのリスクが伴います。「寸法を間違えて短く切りすぎてしまった」「切り口が汚くなってしまった」といったトラブルです。

  • 自店の商品なら:
    すぐに売り場から新品を持ってきて、「申し訳ありません、新しいものと交換します」と対応できます。
  • 持ち込み品なら:
    その商品が生産終了品だったり、ネット限定の特殊なサイズだったりした場合、ホームセンター側には代替品を用意する術がありません。
    お客様の大切な資材を弁償できない以上、最初から「触らない」のが唯一のトラブル回避策となるのです。

3. 安全管理上の問題

持ち込まれた材料の状態(錆び、曲がり、汚れ)によっては、切断中に材料が暴れたり、固定が外れたりして、作業者の安全を脅かす可能性があります。従業員の安全を守るためにも、品質が保証された自社商品以外の加工は慎重にならざるを得ません。

他店購入品の持ち込みカットが断られる理由
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「持ち込み」が可能な代替案は?

では、すでに手元にある材料を切りたい場合はどうすれば良いのでしょうか。ホームセンターのカットサービスに頼るのではなく、以下の方法を検討してみてください。

  • レンタルスペース(工房)を利用する:
    カインズ工房などの「場所貸し・工具貸し」サービスであれば、自分で作業する前提で持ち込みが許可される場合があります(※ただし、持ち込み規定は店舗により厳格化されているため要確認)。
  • 地域の鉄工所(町工場)に相談する:
    個人経営の鉄工所などは、事情を話せば「いいよ、切ってあげるよ」と有料で対応してくれることがあります。
    「地域名 + 鉄工所 + 個人」などで検索し、電話で相談してみる価値はあります。
  • 自分で工具を買う:
    これからDIYを続けるなら、後述するディスクグラインダーなどを購入して、自分で切れるようになるのが最も自由度が高い解決策です。

金属切断のカット料金や穴あけ加工の目安

次に、実際にホームセンターでLアングルを切ってもらう場合の料金について詳しく見ていきましょう。金属カットは、木材カットに比べて機械への負荷が大きく、刃の消耗も激しいため、料金設定はやや高めになっていることが一般的です。

基本的なカット料金の相場

店舗や会員ランクによって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。

サービス項目料金目安
(1カット/1箇所)
備考・注意点
金属
(スチール・アルミ)
直線カット
50円 ~ 150円木材カット(30円〜50円)の2〜3倍程度が相場。
コーナンPROなどは安い傾向。
金属穴あけ加工50円 ~ 300円ボール盤を使用。位置決め(ポンチ打ち)などの
手間が含まれるため割高になる場合も。
パイプカット50円 ~ 100円単管パイプや塩ビパイプなど。
専用のカッターを使う場合もある。
特殊カット
(斜め・45度)
原則対応不可ほとんどの店舗で断られます(後述)。
対応可能な場合でも数百円〜と高額になる可能性あり。

穴あけ加工について

棚を作る際など、ボルトを通すための穴が必要になることがあります。金属への穴あけは、家庭用のドリルだと刃が滑ってしまったり、なかなか貫通しなかったりと意外に苦戦する作業です。 一部のホームセンター(コメリパワーなど)では、業務用の「ボール盤」を使って、垂直に正確な穴を開けてくれるサービスがあります。

ただし、穴の位置を指定するための「墨付け(印付け)」は、自分で行う必要がある場合がほとんどです。マジックで印をつけるだけでなく、センターポンチなどで小さく窪みをつけておくと、作業者の方もスムーズに加工できます。

金属切断のカット料金や穴あけ加工の目安
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💡 端材(あまり)はどうなる?

カットして残った部分(端材)は、基本的にお客様の所有物として持ち帰ることができます。「いらないから捨てて」とお願いすれば処分してくれる店舗もありますが、後で「やっぱり必要だった!」とならないよう、念のため持ち帰ることをおすすめします。

ステンレスや鉄アングルの切断対応の注意点

「アングル」といっても材質は様々です。そして、この材質の違いこそが、ホームセンターでの「カット対応可否」を分ける決定的な要因になります。「アルミは切れるけど鉄はダメ」「鉄は切れるけどステンレスは別料金」といったケースは非常によくあります。

1. アルミアングル(アルミ)

  • 特性:
    非常に軽量で柔らかく、錆びにくい素材です。
    DIYでは最も扱いやすいアングル材と言えます。
  • カット対応:
    対応してくれる可能性が高いです。
    アルミは比較的柔らかいため、金属専用機でなくても、木工用のスライド丸ノコに「アルミ用チップソー」を装着していれば切断可能です。
    そのため、木材加工メインの店舗でも「アルミならOK」と言われることがあります。

2. スチールアングル(鉄・等辺山形鋼)

  • 特性:
    「アングル」と言えば本来これを指します。
    重くて強度があり、安価ですが錆びやすいため塗装が必要です。
  • カット対応:
    プロ向け店舗や大型資材館なら対応可能です。鉄を切断すると、高温の火花(スパーク)が激しく飛び散ります。
    この火花が木くずなどに引火すると火災になるため、一般的な木工室では切断が禁止されていることが多いのです。
    火花対策がされた専用スペース(金工室)がある店舗でのみ対応してもらえます。

3. ステンレスアングル(SUS304など)

  • 特性:
    鉄以上に硬く、粘りがあり、錆びに非常に強い高級素材です。
    水回りや屋外での使用に適しています。
  • カット対応:
    非常に難易度が高く、断られるケースが多いです。
    ステンレスは「難削材」と呼ばれ、切断時の熱で硬くなる(加工硬化)性質があります。
    通常の鉄用砥石では歯が立たず、専用の高級な刃が必要です。
    対応可能な場合でも、刃の摩耗代として追加料金がかかるか、あるいは「ステンレスは切れません」と明確に断られることが一般的です。
ステンレスや鉄アングルの切断対応の注意点
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購入前に素材の確認を!

売り場にはアルミ、鉄、ステンレスが並んでいますが、見た目が似ているものもあります(特にステンレスとメッキされた鉄)。購入してから「これは切れません」と言われないよう、商品ラベルの材質表記(アルミ、スチール、SUSなど)を必ず確認し、サービスカウンターでその材質がカット可能か聞いてからレジに向かいましょう。

長尺アングル運搬用の軽トラ貸出サービス

Lアングルの定尺(決まった長さ)は、1820mm、2000mm、3640mm、4000mmなどが一般的です。もしカットサービスを利用せず、長いまま持ち帰る必要がある場合、あるいはカットしても2mを超える場合は、一般的な乗用車には載りません。

そこで活用したいのが、ホームセンターが提供している軽トラックの貸出サービスです。

サービスの基本的な仕組み

ほとんどの大手ホームセンターでは、長尺物や重量物を購入したお客様向けに、軽トラック(軽トラ)を無料で貸し出しています。

  • 利用条件:
    「その店舗で当日購入した商品」を運搬する場合に限ります。
    レシートの提示が必須です。
  • 貸出時間:
    往復を含めて「60分」または「90分」程度が一般的です。
    店舗によっては120分までOKな場合もありますが、次に待っているお客様のためにも時間厳守です。
  • 必要なもの:
    運転免許証が必要です。
    また、オートマ(AT)車が増えていますが、店舗によってはマニュアル(MT)車の場合もあるので、AT限定免許の方は事前に確認しましょう。

利用時の注意点

アングル材のような長尺物を軽トラに積む際は、道路交通法の制限を守る必要があります。荷台からはみ出して良い長さは「車両の長さの10%まで」です。4mのアングルを積む場合、斜めに立てかけたり、「鳥居(キャビン後ろの枠)」を活用して固定したりする必要があります。

多くの店舗では、固定用のロープや赤旗(はみ出し部分に付ける目印)も貸してくれますが、「積み込みは自分で行う」のが基本ルールです。ロープの結び方(南京結びなど)に不安がある方は、店員さんにアドバイスを求めると良いでしょう。

長尺アングル運搬用の軽トラ貸出サービス
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配送サービスという手も

「運転に自信がない」「どうしても車に入らない」という場合は、有料の配送サービスを利用するのも一つの手です。エリア内であれば1,000円〜3,000円程度で自宅まで届けてくれます。ただし、配送日時が細かく指定できない(「午前の便」などざっくりした指定になる)ことが多いので、スケジュールには余裕を持ちましょう。

ホームセンターでLアングルカット不可時の対処法

「近所のホームセンターに電話したら断られてしまった」
「45度カットが必要だけど、お店では直線しか切れないと言われた」

そんな時でも、DIYを諦める必要はありません。ここからは、お店に頼らずに自分でLアングルを切断するための実践的なテクニックと、必要な道具について解説します。自分で切れるようになれば、現物合わせでの微調整も自由自在になり、DIYのレベルが一気に上がりますよ。

ホームセンターでLアングルカット不可時の対処法
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お店で切れない場合にDIYで切断する方法

Lアングルを自分で切断する方法は、大きく分けて「手動工具を使う方法」と「電動工具を使う方法」の2つがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、自分の状況に合った方法を選びましょう。

1. 手動で切る:金切ノコ(ハンドソー)

  • メリット:
    工具が安い(1,000円〜2,000円程度)。騒音が少なく、ご近所迷惑になりにくい。
    火花が出ないので火災のリスクが低い。
  • デメリット:
    体力と根気が必要。厚みのある鉄やステンレスを切るのは非常に大変。切断面が斜めになりやすい。
  • おすすめのケース:
    「アルミのアングルを数本だけ切りたい」「騒音を出せない集合住宅のベランダで作業する」といった場合。
お店で切れない場合にDIYで切断する方法
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2. 電動で切る:ディスクグラインダー(サンダー)

  • メリット:
    圧倒的に早い。硬い鉄やステンレスもバターのように切れる。
    切断だけでなく、バリ取りやサビ落としにも使える汎用性の高さ。
  • デメリット:
    大きな騒音と火花が出る
    回転体が露出しているため、誤った使い方をすると大怪我をする危険性が高い。
  • おすすめのケース:
    「鉄のアングルを何本も切りたい」「今後も頻繁に金属加工をする予定がある」「作業できる庭やガレージがある」といった場合。

ディスクグラインダー等の工具と安全対策

もし、これから本格的にDIYに取り組むなら、ディスクグラインダーを導入することをおすすめします。ただし、これは「最も便利な工具」であると同時に、「最も事故が多い工具」の一つでもあります。正しい知識と装備が不可欠です。

工具の選び方

  • 本体:
    ホームセンターで売られている「100mmディスクグラインダー」が標準的です。
    安価なモデルでも切断は可能ですが、回転数を調整できる「変速機能付き」モデルだと、ステンレスが焼けないように回転を落としたり、音を抑えたりできるので便利です。
  • 砥石(といし):
    購入時は本体に「研磨用」の分厚い砥石がついていることが多いですが、切断には必ず薄い「切断砥石(せつだんといし)」を使用してください。
    厚さ1mm程度の「金の卵(レヂトン製)」などが切れ味が良く、プロにも愛用者が多い定番品です。
  • アルミを切る場合:
    通常の切断砥石でアルミを切ると、溶けたアルミが砥石の目に詰まり(目詰まり)、砥石が破裂する恐れがあります。
    必ず「アルミ用」と書かれた専用の砥石を使ってください。

⚠️ 命を守るための安全対策(絶対厳守)

ディスクグラインダーの砥石は、毎分1万回転以上の凄まじい速度で回転しています。もし作業中に砥石が割れると、破片が弾丸のような速度で飛んできます。以下の装備なしでの作業は自殺行為です。

  • 保護メガネ:
    必須です。鉄粉や砥石の破片が目に入ると失明します。
    できれば顔全体を覆う「フェイスシールド」が理想的です。
    (出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)『ディスクグラインダー「1.刃の破損」』
  • 革手袋:
    軍手は絶対にダメです。
    繊維が高速回転する軸や砥石に巻き込まれ、指ごと持っていかれる事故が多発しています。
    万が一触れても切れにくい「革手袋」や「耐切創手袋」を着用してください。
  • 防塵マスク:
    金属の粉塵を吸い込むと肺を痛めます。簡易的なもので良いのでマスクをしましょう。
  • 服装:
    長袖・長ズボンで肌の露出を避けましょう。火花は高温です。
    化学繊維(フリースやナイロン)の服は火花で溶けて火傷するので、綿素材の作業着がベストです。
ディスクグラインダー等の工具と安全対策
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キックバックへの警戒

作業中に砥石が材料に挟まると、反動で本体が作業者に向かって跳ね飛ばされる「キックバック」という現象が起きます。これを防ぐために、以下の点を守ってください。

  • 固定は確実に:
    手で持って切るのはNGです。
    必ずクランプや万力で材料を作業台に固定します。
  • 力の逃げ道を作る:
    切り落とす側の材料が自重で下がると、切断溝が閉じて砥石を挟み込みます。
    切り落とす側がフリーになるようにセットするか、下にスペーサーを入れて支えましょう。
  • 構え方:
    常に体の正面から少しずらして構え、脇を締めてしっかりと保持します。
    万が一弾かれても、自分の体に刃が飛んでこない位置取りを意識してください。

金切ノコを使って手動で切る手順とコツ

「電動工具はやっぱり怖い」「数回しか使わないから安く済ませたい」という方は、手動の金切ノコ(ハンドソー)で頑張りましょう。コツさえ掴めば、アルミや薄い鉄アングルなら綺麗に切ることができます。

道具選びのポイント

100円ショップのノコギリは、フレームの剛性が低く、刃がすぐにダメになるのでアングル材の切断には不向きです。ホームセンターで1,500円前後のしっかりしたフレームのものを購入しましょう。

  • 刃の山数(TPI):
    刃の細かさを表します。「24山(一般金属用)」または「32山(薄板用)」を選びます。
    アングルの厚みが2〜3mmなら、32山の方が引っかかりが少なくスムーズに切れます。
  • 材質:
    「バイメタル刃」と書かれたものは、折れにくく長持ちするのでおすすめです。

切断の4ステップ

  1. 材料の固定:
    ここでも固定が命です。アングルがグラグラ動くと力が逃げていつまで経っても切れません。
    作業台の端にクランプでガッチリ固定しましょう。
  2. ケガキと溝作り:
    切りたい位置に線を引きます。
    最初は刃が滑りやすいので、親指の爪をガイドにして、ゆっくりと数回引いて「V字の溝」を作ります。
    この溝ができれば、あとは刃がズレにくくなります。
  3. 本切り:
    日本の木工ノコギリは「引くとき」に切れますが、金切ノコは基本的に「押すとき」に切れる構造です。
    前に押すときに力を入れ、戻すときは力を抜きます。全体重をかけるのではなく、ノコの長さ全体を使って大きくリズミカルに動かすのが疲れずに切るコツです。
  4. 寸止めと仕上げ:
    切り落とす直前は、ガクンとなって怪我をしやすいので、優しくゆっくり動かして切り離します。
金切ノコを使って手動で切る手順とコツ
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仕上げの「面取り」を忘れずに

切断した直後の切り口には、カッターナイフのように鋭利な「バリ」が残っています。そのまま触ると指をスパッと切ってしまいます。必ず「金ヤスリ」で角をこすって、バリを取り除いてください。この一手間がプロと素人の仕上がりの差であり、安全への配慮です。

45度カットや斜め切りの難易度と解決策

アングル材を使って四角い枠や水槽台を作る際、角を綺麗に合わせるために端を斜め45度にカットする「留め切り」に憧れますよね。しかし、これはホームセンターで断られる筆頭の加工であり、DIYでも難易度が高い作業です。

なぜ45度カットは難しいのか

「分度器で測って45度で切ればいいだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、アングル材には「厚み」があるため、単純な平面の図形とは勝手が違います。

  • 展開寸法のズレ:
    直角に組む際、アングルの外側の寸法を合わせるのか、内側の寸法を合わせるのかで、切断位置が変わります。厚みの分だけ計算が複雑になるのです。
  • 直角精度のシビアさ:
    もし45度ではなく46度で切ってしまった場合、4本組んで四角形にしようとすると、最後の角で大きな隙間が空いてしまいます。
    1度以下の誤差も許されない世界なのです。

DIYでの解決策:マイターボックスの活用

フリーハンドで正確な45度を切るのは、熟練の職人でも困難です。そこで、ガイドツールである「マイターボックス」を活用しましょう。

これは、ノコギリを差し込むスリット(溝)があらかじめ45度や90度に入っている箱状の道具です。この箱の中にアングル材を固定し、スリットに合わせてノコギリを動かすだけで、誰でも比較的正確な角度切りが可能です。

  • 選び方:
    樹脂製の安いものもありますが、金属を切るとスリット自体が削れてガバガバになってしまうことがあります。
    できれば金属切断に対応したしっかりした製品を選ぶか、消耗品と割り切って使うのが良いでしょう。
  • 現物合わせの極意:
    計算で長さを出すよりも、実際に組む相手のアングルを当てがって、「ここが重なるからここで切る」と直接印をつける(現物合わせ)方が、失敗が少なくおすすめです。
45度カットや斜め切りの難易度と解決策
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隙間が空いてしまったら?

DIYにおいて、多少の隙間はご愛嬌です!もし45度カットで隙間が空いてしまっても、溶接をするのでなければ強度はボルトやリベットで確保すれば問題ありません。見た目が気になる場合は、金属用のパテで埋めて塗装するか、コーナー部分を隠す樹脂製の「アングルキャップ」を被せてしまえば、綺麗に仕上がりますよ。

Lアングルカットのホームセンター活用まとめ

今回は、Lアングルのホームセンターでのカット事情から、自分で切る方法まで幅広く解説しました。最後に要点を振り返りましょう。

  • まずは電話確認:
    金属カットが可能か、特に「高速切断機」があるかどうかをプロ向け店舗(コーナンPRO、コメリパワー等)に問い合わせましょう。
  • 持ち込みは期待しない:
    他店購入品のカットは原則不可です。持ち込みたいなら「カインズ工房」などのレンタルスペースを利用するか、鉄工所を探しましょう。
  • 運搬は軽トラで:
    長いアングルは無理に車に詰め込まず、店舗の無料貸出トラックを利用するのが安全です。
  • 自分で切るなら安全第一:
    ディスクグラインダーを使うなら「保護メガネ」「革手袋」は絶対着用。
    不安なら手動の金切ノコで地道に切るのも立派なDIYです。

最初は「金属を切るなんて自分にできるかな?」と不安に思うかもしれませんが、一度切ってしまえば「なんだ、案外簡単じゃないか!」と思えるはずです。アングル材を自由自在に扱えるようになれば、あなたのDIYの幅は無限に広がります。棚も、机も、小屋だって作れるようになりますよ。

ぜひ、この記事を参考に、安全に楽しくLアングル加工に挑戦してみてくださいね!

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とっしー
運営者のとっしーです。DIY歴は20年超。数々の失敗から得た経験を元に、工具のレビューや初心者がつまずくポイントを丁寧に解説しています。あなたの「最高の選択」を全力でサポートします!
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